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『旧町名さがしてみましたin東京』はじめに公開

3月13日に発売の新刊『旧町名さがしてみましたin東京』(102so)の「はじめに」を公開します。



はじめに

ヨドバシカメラをご存知ですか? 実はヨドバシカメラの「ヨドバシ」とは、新宿区の町名「淀橋」から来ています。ところが、新宿区の地図を見ても淀橋などという町名はどこにも見当たりません。残念ながら新宿区淀橋は昭和45年の町名変更によって、新宿区西新宿に変わってしまいました。つまり、淀橋はもうこの世に存在しない町名なのです。

このように、かつてはその地に存在し、現在は消滅した町名を「旧町名」と呼びます。そしてその旧町名がこの本のテーマです。
なお、この本は町名・地名を扱うものではあるものの、それらを研究したものではありません。正しい由来を解明したり主張したりもしていませんし、歴史も紐解きません。路上から何かを読み解くこともなく、ましてや新しい街歩きの提案もしていません。旧町名をただひたすらさがしている本なのです。

まず第1章では、これらに関する基礎知識を体系的に学んでいただきます東京23区には、私の主観と目視によれば、淀橋を始めなんらかの事情で消滅した旧町名がおよそ1069あります。ビックカメラ店舗数の約23倍です。それら旧町名を現地でさがして、見つけて、喜ぶ。
ドラゴンボールの約150倍もの数の旧町名をさがすうえで必要な知識を習得しましょう。決して旧町名さがしの教科書を装ったエッセイではありません。

続いて第2章では、難しいことはさておき実際の旧町名をお楽しみいただきたいと思います。
あなたが旧町名だった町を訪れたときのために、東京23区別に厳選して、町の見所や逸話と共にご紹介します。決して観光ガイドを装ったエッセイではありません。

さらに第3章では、我々の〝敵〞を知りましょう。それは「住居表示」です。多くの町名が彼によって消滅し、旧町名となり、私に発見され、いまではこうして本にまとめるまでになったありがたい、いや、由々しき敵について迫りました。決して実録ルポを装ったエッセイではありません。

最後の第4章は対談企画です。町名・地名の有識者である能町みね子さんをお招きして、互いの知識と知識がぶつかり合うことなどなく穏やかに対談が行われました。その模様をご覧いただきます。決して対談を装ったエッセイではありません。

以上が全体像です。つまりこの本は、多少エッセイじみた、若干町名に比重がありすぎるものの東京23区の新たな一面が覗ける、観光ガイド感覚でお気軽にお手軽にご覧いただけるものです。
それでは、最後までごゆっくりお楽しみください。



『旧町名さがしてみました in東京』 102so  ISBNコード 9784576230122
A5判 税込1925円


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