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『旧市町村日誌』36 1000の旅 文・写真 仁科勝介(かつお)

ブログの更新が追いついていないので、若干宣言はしづらいけれど、屋久島を訪れて、訪問したまちの数が1000に到達した。実感はあまり湧かない。でも、巡っていることは確かだ。

 

実感が湧かない理由のひとつは、旅の中断が多くて、いろいろな記憶が混ざっているからだと思う。前回の旅で中断したのはケガと冬のシーズンぐらいで、あとは実家に帰ることもほとんどなかった。でも、今回はたとえば仕事があれば、カメラの機材を準備したり旅の服を着替えたりと、実家に帰る機会も前回より多い。そうなると、旅をしているときとそうではないときが、まったく混同しないわけじゃない。もちろん、「仕事があって……」としてしまった途端、旅も仕事もぜんぶカッコ悪くなる。割り切るだけのことでしょう? ってね。

 

だから、1000という数字がこのタイミングでやってきて良かった。それも、前回の旅を終えた屋久島で迎えることができた。島には高校の同級生が住んでいて、そのご縁で島民の方との出会いもたくさんあった。旅の原点に立ち戻って、もう一度、再スタートだ。残り1200ほどのまちを、全力でまわることだ。旅の中断もまだまだあるけれど、気持ちを切らさない、むしろ、もっと燃やすことだ。

 

と、こんなことを言っておきながら、早速、今週末にかけて旅を休むので、自分に向けて書いた。結局は、川下りのオールは自分で操舵するけれど、川の流れには乗ったままだから、なるがままの部分と選ぶ部分を組み合わせる感じかなあ。

 

最近、山崎豊子の代表作『白い巨塔』を読んでいて、小さな伏線が、あたかも偶然のような形で回収されていく流れにゾッとしている。人生に偶然はないとでも言えるような、仕組みのような流れ。それに、この本を読んでいると、もっと人として成長しなきゃダメだと感じる。

 

人としての成長ってなんだって話だけれど、屋久島で、オーラが見える人と出会って、「かつおさんは、インディゴと紫ですね〜」と言われた。インディゴは紺色、意味は変人で、紫は俯瞰する人だと。しかも、別の島の人にも同じ色が見えると言われて、なんだなんだ。屋久島では見せかけの自分は通用しないのだなあ、と降参の気持ちになった。

 

ぼくはオーラが見えないけれど、自分の心の内側から溢れ出るものがオーラだとするならば、やっぱり、もっと成長しなきゃダメだ。自分の心なんて、まだまだだから。



仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年4月から旧市町村一周の旅に出る。


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