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『もう一度旅に出る前に』33 準備の進捗率 文・写真 仁科勝介(かつお)

今、旅の準備がどれぐらいの進捗率か、深呼吸して想像すると、33.3%ぐらいではないだろうか。まず、絶対にしなければならないことは、部屋の退去とカブの修理。どちらも、期日までには準備できると思う。そして、このふたつさえ準備が整えば、旅は始められる。しかし、今の状態で旅に出ても、旅にはなかなか集中できないだろう。

まず、確定申告をしなければならない。これはもう、待ったなしである。次に、仕事がある。仕事があることは、とてもありがたいことだ。つくづくがんばらなければならない。その仕事の中には総務っぽいことも含まれる。郵便局に行ったり、宅配を出したり、マイナンバーをコピーして提出したり。ぼくはサラリーマンをやったことがないのでわからないが、上司が後輩に頼む「これやっといて」みたいなやつを、たぶん全部やる必要がある。これが案外多いし、時間も意外とかかる。さらに、ここにどれだけの比重をかけるかは、おおよそ自分で選べる。でも、ぼくは結構、この総務が好きだ。いや、もちろん、心の中で面倒だなあと思うこともあるわけだけれど、心の中にいるもうひとりの自分が、人差し指でチッチッチ、と指摘するのである。「君、そーゆーところやで?」って。まあ、総務の作業をする人間は、どっちみち自分しかいないので、最初からやる気を持って、早いうちにどんどんやることがいちばん効率が良い。そして、パンクしないようにできるだけ8時間しっかりと寝る。

で、やることはいつもメモ帳にリスト化しているのだが、「旅の準備」の項目まで、あと少しで届きそうで、届かない日々が続いている。編集者さんに、「旧市町村のことはもう調べていらっしゃるのですか?」と聞かれたけれど、本格的な作業はこれからだ。ほかにも積読は、引っ越しで本を減らす時期なのに、逆に買ってしまって増えていく(この前10冊買った)。それに、最近は鎌倉殿の13人を追いかけていて、今48話の半分あたりである。これはリアルタイムで追いかけなかった自分が悪い! と、時間の四面楚歌だ。

ただ、前の旅の今ごろは、準備で忙しかったかもしれないが、たぶん、もっと暇していたと思う。振り返れば、それは5年前の話だ。ずいぶん経ったものである。今はやりたいことがいっぱいあるし、どれだけやっているかのニュアンスは、ここでの書き方次第だが、まあ、まあまあ、イングリッシュなら、ソウソウである。でも、5年経って、また似たような旅がしたくて、わっせ、わっせとやっているのだから、面白い。5年前の自分には、失敗してもいいから、やれるだけやってみんさい、と今なら言える。だから、今回もやれるだけ、やってみんさい。と、準備の進捗率は今、33.4%ぐらいであろうか。


仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。

HP|https://katsusukenishina.com
Twitter/Instagram @katsuo247

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