だけど願いはかなわない・あとがき


男には にたりと迫る 艶景色
かくも卑しく 蕩めく情念

〜真央の和歌・詠人『やーさん』〜


どうもどうも、作者です。Twitterのフォロワーさんが詠んで下さった真央の和歌でスタートしてみました。

この度は、『だけど願いはかなわない』に最後までお付き合いいただき、そして、こんなところまでお読みいただき、誠にありがとうございます!!

長くなりますので、最初にメニューを書いておきます。

【あとがきメニュー】

・執筆裏話

・登場人物解説

・もう一つの物語

・Special Thanks



★執筆裏話★

このお話は、Twitterで公開しつつ、月に一~二話ずつ更新していました。そして、今年の七月の半ば、真央の回想にあたる第十九話「妻達(後編)」を公開した後、八月末締め切りの新人賞に応募するため、未公開のまま一月半ほどで一気にラストまで書き上げ、その後、その完成原稿に修正を加えてから再度順次更新していくという形で完結させました。

新人賞はどうなるか…結果はまだ出ていませんが、私の中では答えは出ています。

身バレ防止のためにTwitterでは伏せていましたが、ラストの第二十三話~終章の一番大事な所を手がけている最中、娘達の保育園がコロナ関連で臨時休園になり、普段の半分以下の時間で書き上げる事になりました。

前もって仕事の整理はしていたので(私はフリーのライターです)、賞の締め切り直前の一週間はほとんど仕事は入れていませんでしたが、幼児の双子の育児をこなしつつ最低限の家事をし、睡眠時間を削り、青息吐息で締め切り数時間前ギリギリでにどうにかこうにか完成させました。その結果仕上がった原稿は、誤字脱字だらけ、文章もガタガタ、未回収のフラグもあるという有様でした。(※皆様にお読みいただいているのは、その原稿に修正を加えたものです)。私が編集者さんなら、最後まで読む気が失せると思います。

無理に完成させずに応募を見合わせ、後日改めて別の賞に送るという手もありましたが、私はその賞に応募したかったのです。読書好きな方なら分かるような有名な賞なので、もともと受賞という大それた目標を持っての応募ではなく、どうにか最終選考に残ればいいなと思っていたのですが、今はそれも諦めています。

締め切りギリギリに原稿を送信した瞬間、「色んな意味で終わった…」と思いました。そして後から読み返してみて、その想像以上の酷い仕上がりに泣きたくなりました。

しかし、少し時間が経って落ち着いた今、悔いはありません。

それよりも、あの状況で最後まで書き切る事が出来た自分は書き手として確実に成長しているなと、自分で自分を褒めてあげたい!!

皆様にお読みいただいた加筆・修正して公開した本文は、大分マシになってはいるものの、最終話と終章に関してはかなり書き急いでる感が出ていますね。それでも、こんな「あとがき」までお読みいただいている貴方には充分お楽しみいただけたのではないかと信じています!



★登場人物解説★

①シロさん

シロさんの事は、色々と謎のままです。そこが知りたかったのに!という方もいらっしゃると思いますし、そういう方には物足りないお話で申し訳無いです。私は『分からない事が一番怖い』と思うので、シロさんの事はわざとボカしています。

また、真央はあくまで理解の範疇に存在する『怖い人』で、シロさんは人間の枠を超えた『化け物』に見えるようにしています。

ちなみに、シロさんは印刷物等の文字を読めるようになった後も、書く事はできないままです。しかし、そもそもが記憶力の化け物なので学校などでノートを取る必要も無く、キーボードを使用して文章を打つ事は可能なのでテスト等は学校側の特別な措置を受けていました。終章で、『シロさんが使っていた小型のノートパソコンを片付けるジュン』的なシーンを入れようかなと思っていたのですが、割愛。


②あおいちゃん

ラストでジュンがあおいちゃんとの生活を選ぶ事は、最初から決めていました。小説の初期の頃から、Twitterや配信等で「ラストは賛否両論別れる感じになると思う」と言っていたのですが、この事です。

終章でジュンの言っていた、「幸せの形なんて、人それぞれでしょう?」は、小説を書いていく上で私が発信していきたいメッセージの一つです。

ちなみに、精巣癌は実際は性欲は減退しません。そこはあくまでフィクションなので、お許しを。(抗がん剤治療の副作用で性欲が減退する事はあるようです)


③ハルキ君

序章では主役だったのに、どんどん出番の減ったハルキ君。Twitterの読者様の意見は「ハルキかわいそう」派と「ハルキ君はクソ野郎」派の真っ二つに割れ、アンチすら産み出したハルキ君。とっても不憫な彼ですが、一皮むけた彼ならばきっと幸せになる事でしょう。

当初考えていた終わり方では、ハルキ君はジュンと『たまに食事をする健全な友達』になっていて、ハルキ君が「スミちゃんが僕に振り向いてくれるまで待つよ。でも、僕って意外とモテるから、ボヤボヤしてると他の人に取られちゃうかもしれないよ?」という軽口を言って、ジュンが「ハルキ君変わったね」と驚くシーンを入れようと思っていました。

でも、本編のハルキ君の方が彼らしいので、あの終わり方にして良かったなと思います。


④鬼塚さん

初登場時は、『いぬじにはゆるさない』のモンちゃん的な味のある脇キャラで終わる予定が、書いていて一番楽しかった鬼塚さんはどんどん出番が増え、「いっそジュンとくっつけちゃおうかな~」と、作者が迷うまでになりました。

でもラストを変える気は無かったので、「くっつかなくても告白はさせよう!」と、途中からはそのつもりで書いていたのですが、これがなかなか告ってくれないの。素直にならんかい!告白せい!と動かそうとしても、ひねくれ者の中年男は作者の思い通りに動いてくれず、ジュンとすれ違うばかり。最終話で告白させるまで、かなり手を焼きました。

告白前の「俺の負けだ、負け」は、自然と出てきた台詞で、おそらくジュンだけでなく作者の私に対する言葉です。


⑤ジュン(スミちゃん)

シロさんに恋するように『呪い』をかけられて育ったジュン。彼女の時折出てくる一見あざといような純粋さは計算されたものでは無く、その弊害で『どこか子どものまま成長してしまった』事の現れです。

また、ハルキ君との食事のシーンでジュンが倒れたのは、『スミちゃん』になる事で他の男性(ハルキ)との逢瀬を楽しんでいた彼女が、ハルキ君の一言でジュンに戻ってしまい、シロさんの『呪い』の反動が一気に降りかかってきたせいです。

しかし、ジュンは自分はシロさんに出会えて幸せだったと言っています。きっと、それは本心です。例え誰かに操られていたとしても、本人が幸せと思っていれば幸せなのでしょうか?間違っているかもしれないし、それでいいのかもしれません。

あと、ジュンはスレンダー体型ですが、胸はDカップあります。作者のこだわりです。



★もう一つの物語★

このお話には、一つ、『裏の仕掛け』を用意しています。あくまで「こういう風にも読めるよね」「もしかしたら…」というもので、それが正解という事ではありません。

気付かれた方、いらっしゃいますか?更新をリアルタイムで読まれていた方には少し難しいかも。完結後に一気読みされた方の中には、もしかしたらこういった感想を抱かれた方もいらっしゃるのではないかなぁと思います。

それは、『遠回りさせられた恋人達の物語』というものです。←これでピンとこなかった方のために、一応もう一つヒントを。

シロさんの『呪い』をかけられていたのは、果たしてジュンだけでしょうか?



★Special Thanks★

「いぬじにはゆるさない」から、ずっと支えて下さっている読者様。

「だけど願いはかなわない」から新規にお読みいただいている読者様。

皆様のおかげで、最後まで書き切る事が出来ました。

本当にありがとうございました!!



最後に、Twitterのフォロワーさんからいただいたイラストを紹介させていただきます。

↓「ぱんこさん」のハルキ君

ぱんこさんハルキ君

↓「ブーブーキノコさん」の“幽霊女”ジュン

キノコさんジュン

↓「カスタマイズねこさん」のスミちゃん


↓各話一覧【加筆・修正済み】


↓処女作はコチラ

↓甘酸っぱい読み切りはコチラ


またね♥

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