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夜、ゴミを出しに外に出た。
風が冷たくて、急いで中に入ろうとドアを開けようとしたら、なぜか開かない。
あれ、なんで。

鍵がかかっている。

さっきまで息子たちと一緒にいたのに。
今ゴミ出しにでたのを知ってるのに。

なんで鍵をかける。
こんないたずら、
全然おもしろくない。

チャイムを鳴らして待ってもドアは開かない。
ガチャガチャ回しても開かない。
また風が吹いてきた。
だんだん腹がたってきて何度もチャイムを鳴らした。

ようやくドアが開いた。
私は何事かとぷりぷりと怒りながら中に入った。

するとテーブルの上に、可愛らしいくまの顔をした丸いケーキが。
ろうそくには火がともっている。

「誕生日おめでとう、はやいけど、、」
と、はにかむ三男。

わたしを閉め出した少しの間に、ソファーの上の散らかった服を隣の部屋に放りこみ、テーブルの上を片付け、ケーキを出してろうそくをたてていたのだった。
私の誕生日をはっきりと覚えてなかったらしいが、
遊びから帰る途中にもうすぐだったはず、と思い出し、買ってきてくれたのだった。
冷蔵庫に入れずに部屋に隠していたけれど、
まだ5日もあることを知って、そんなに置いておけないから、と今日になったそう。

去年はネコのケーキを用意してくれていた。
日にちは間違ってなかったけどな。
もう一年も経ったんだ。

淹れてくれたコーヒーと、くまのかわいい顔の反対側から切ったケーキをいただいた。

あどけなさの中に、たくましさが見えるようになった中学2年生。
なかなか頼りにもなる。

毎日部活と勉強、たまの休みも遊びで忙しい。
それでも忘れずおこづかいで祝ってくれる。
ありがたいことだな。

不安や心配事の多い毎日。
子供たちの事で悩むこともたくさんあるけど、
こんな風にふっと心を緩めてくれ、温めてくれるのもまた子供たちだ。


元気が出てきた。
がんばろうと思った。




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