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次々相続?

自分の財産を相続させたい人が2人以上いる人もいますよね。はっきりと優先順位はあるものの、最優先の方が亡くなった後、できれば、二番目の方に相続させたい、そういう希望もありえます。

具体的には、前妻との間に子が障害を負っていて、この子のために全財産を遺してあげたいと思っている。けれど、その子が亡くなった後は、今の妻に財産を渡してほしいと思っているような場合。

逆のパターンもあります。妻に全財産を遺したいと思っているのだけど、妻との間には子どもはおらず、前妻との間に子どもがおり、その子たちに妻が遺した財産を相続させたい、というような希望も。

上の事例を事例①として、下の事例を事例②として以下記載します。

事例①では、その子が、遺言を書いてくれて、今の妻に相続させると書いてくれれば解決します。けれど、精神的な障害のため、遺言を書くことができない、ということもあります。

そういったときに、子に相続させる。但し、子が亡くなった場合には、その財産を妻に相続させる。というような記載が許されるか、という問題があります。

一般的に、このような相続は許されないとされています。子が相続した財産について、父親の意思を反映させるということができないようです。実際、こういったことが認められると相続実務はかなり複雑になってしまいそうです。

妻に相続させて、負担付贈与として、子の経済的支援をさせる、ということも考えられます。妻と子の関係が良好であれば、効果的だと思います。関係がそれほどよくない場合には、十分なルールを作っておく必要があると思います。例えば、毎月●円送金しなければならない。などというルールがよいかもしれません。この送金がなされない場合には、子自身は争うことができませんので、事前に後見人などをつけておく必要があると思います。

家族信託という方法がおそらく最も効果的です。家族信託では、受益者が亡くなった場合に、別の者を受益者とすることができます(信託法91条)。これを利用するのが、現代では最も効果的です。

事例②の場合には、妻に全部相続させて、妻から子らに対して、相続させる旨の遺言を書いてもらっておくとよいでしょう。但し、妻は、いつでも遺言を撤回することができます。妻が子らに対して何ら悪意を持っていなかったとしても、別に、贈与したい相手ができてしまえば、撤回される可能性があるわけなので、不安定ではありますね。

やはり、負担付贈与としておくのがよいのかなと思います。


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