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なぜドイツなのか? 日本の常識は世界の非常識

みなさん、初めまして。フースバルトレーニングアカデミーの土屋慶太です。

この度、月額定額マガジン「お父さんコーチ必見 ドイツ式サッカートレーニングアカデミー」を開設しました。その記念すべき1本目の記事をお届けできることに、とてもワクワクしています。無料で最後まで読めるようにしてありますので、お付き合いください!

今後、スポーツライターの瀬川泰祐さんと一緒にこのマガジンを運営し、読者のみなさんと共に日本のサッカー文化を盛り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


土屋慶太の自己紹介

早速ですが、自己紹介させてください。改めまして、土屋慶太と申します。

土屋慶太プロフィール  大学卒業後、ドイツブンデスリーガ2部の1.FCザールブリュッケンでサッカー選手としてのキャリアをスタート。その後、チェコ2部ボヘミアンズ・プラハ、長く携わったドイツ4部EGCヴィルゲスなどでプレーをする傍ら、UEFAのコーチングライセンスを取得。2009年に帰国後は、フッチ・スポーツクラブ、修徳高校サッカー部、東京23フットボールクラブなど、育成年代からトップカテゴリーまで幅広く指導。

僕は日本では、高校生のときにサッカー部を辞めました。また、大学のときは柔道、バンド、バイトなどをしながら、指導者がいないチームでサッカーをしました。楽しいことや大変なことがたくさんあり、とても充実していましたが、サッカーで特に目に見えた結果を出したわけでもなければ、日本ではプロ選手にもなったわけでもありません。

そんな僕が、大学卒業後の2001年、偶然にも渡独することになり、サッカー選手や指導者として結局7年もドイツで過ごすことになりました。その中で実感したことは、「それまで日本で正しいと考えられていたこと、一般的に行われていることが唯一の道ではなく、人それぞれいろいろな方法で道を切り開いていくことができる」ということです。

日本の常識は、世界の非常識?

日本では中学や高校時代に厳しいトレーニングを経験します。僕もそうでした。そして、そのような厳しいトレーニングに耐え、長く練習すればするほど上手くなると思い込んでいました。しかし、ドイツでは、僕が中学・高校時代に味わったような厳しいトレーニングは一度も経験することはありませんでした。練習時間も短く、むしろ物足りなく感じる日々。チーム練習が終わった後に自主練をしていたら「何で練習しているんだ、チーム練習で全力を尽くせばいい」と監督に言われたこともありました。

もちろんトレーニングの難易度が高くて、判断やテクニックが追いつかなかったり、対戦相手が強くてヘトヘトになったりすることもありましたが、負けたからといって100本も走らされたり、嫌々ながら毎日3~4時間も練習させられたりして、「もうサッカーはおなか一杯」と思うこともありませんでした。

結果的にケガが圧倒的に減り、楽しく充実したトレーニングをしながら、試合に出てレベルアップすることができました。何よりも「理不尽な仕打ち」や「出る杭は打たれる」ことから解放され、自分の実力次第で評価を変えていくことができる世界があるということを実感することができたのです。

日本にいたときであれば「こんなに楽しくていいのか」と思っていたかもしれません。しかし、そんなやり方でも、最終的にはヨーロッパでプロとしてプレーすることができました。だからと言って「日本より海外のほうがいい」とか「日本で通用しないから海外に行け」とか「ドイツが世界一だ」と主張したいわけではありません。日本でもサボっていけないことはたくさんあるし、日本とドイツでも大切にすべき共通点はたくさんあります。ここで言いたいのは、日本のやり方が全てではないということです。

サッカーを、そして人生を楽しむ

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小学校や中学校の頃を思い返すと、サッカーが楽しくて何時間でも友達とボールを蹴っていました。しかし、高校生のころには、そのような感覚ではなく、楽しくて自らサッカーをしたいという感情はなく、「やらされていた」ように思います。また「楽しんだら怒られる」かのような雰囲気もあったかもしれません。そのようなスポーツ体験を持つ大人の方は多いのではないでしょうか?

今でもそのように感じることがありますが、日本のスポーツ現場には「楽しむ=真剣にプレーしていない」、「歯を食いしばってプレーしている=がんばっている」という風潮があるように思います。ドイツでの生活を経たいまだからこそ「もっと楽しめばいいのに」「そんなに悲壮感を漂わせずに楽しもう」と言うことができるのですが。

日本のスポーツ中継では、選手や会場の観客が泣いている姿を映すシーンがあまりにも多いと感じますが、テレビ観戦する人たちもサッカーの内容そのものよりも、「お涙頂戴」のドラマのような要素を求めている人が多いのかもしれません。高校生の大事な試合で選手たちが楽しそうに笑顔でサッカーするのを見て「高校生らしくない!」と批判する人がいるという話も聞いたことがあります。

僕がドイツにいる時に、実際に生活する中で実感した言葉があります。

Fußball ist die wichtigste Nebensache der Welt.
(サッカーは世の中のどうでもよいことの中で最も大事なことだ。)

ドイツでは、サッカーが断トツで一番人気のあるスポーツで、たくさんの人がサッカーに熱狂しています。プレーをしていても観戦していても、勝ってバカ騒ぎし負けて泣き、時にはサッカーのことがきっかけで喧嘩になることもあります。もちろん、しばらくしたら現実に戻ります。練習中にチームメイトと喧嘩してもシャワーを浴びたら何事もなかったかのようにあっさりしることなんて、日常的な光景です。結局サッカーはサッカーで、サッカーに関心がない人にとってはどうでもいいことです。いつまでも負けやミスを引きずって常に悲壮感を漂わせて生活するのではなく、時にはジョークで切り抜けて、サッカーも人生ももっと楽しんでいいんだということを学びました。

第二の故郷ドイツ

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ドイツでは、日本からやってきた若造を寛大に受け入れてくれた人々おかげで、2009年まで約7年間、充実した日々を過ごすことができました。

名前をすべて挙げると本1冊になってしまいそうですが、特に、初期に所属したチームの監督でよく面倒を見てくれたウド(Udo Hölzer ウド・ヘルツァー)、ドイツサッカー協会指導者ライセンス責任者であり僕のライセンスの先生でもあるベルント(Bernd Stöber ベルント・シュトゥーバー)、後期に3年間所属したクラブの会長であったアルフォンス(Alfons Fasel アルフォンス・ファーゼル)はドイツの恩師であり、先生でもあり、今でも交流のある親友です。

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彼らからはサッカーやビールの飲み方だけでなく、生き方や価値観、寛大な心、厳しさ、ときには(ほとんど?)ジョークなどさまざまなことを学び、また、彼らを通してさまざまな人たちと知り合うこともできました。

ドイツは僕にとって第二の故郷であり、彼らや多くの人との出会いがなければ今の自分はなく、またこの記事を書き進めることもできなかったでしょう。Vielen Dank!

僕はドイツ在住中、ピッチ内外でとても良い経験をしました。「もっと早くからやっておけばよかった」、「そういうやり方もありなんだ」と思ったことを伝えていき、必要な人に役立ててもらいたいという気持ちからこのnoteをスタートしました。スペイン料理もイタリア料理もメキシコ料理も日本食も好きですが、表面的だけでなく実際に現地で経験してきたドイツのことを書いていきます。

このマガジンのタイトル通り、僕がドイツで選手や指導者として学んだ練習メニューを中心に、随時更新していきますが、紹介するメニューは僕が指導者になってから実際に現場で使い、ときには改良して手ごたえを感じたものばかりです。

さまざまな年代やテーマに対応できるように試行錯誤しながら更新していく予定です。取り上げてほしい練習メニューやテーマなども随時受け付けていますので、お気軽にコメントしてください! Viel Spaß!

このマガジンで、今後よく使うと思われる簡単なドイツ語を紹介しますので、この機会に覚えてみてくださいね。

Danke!(ダンケ) → ありがとう!
Vielen Dank!(フィーレン・ダンク) → ありがとう!
Viel Spaß!(フィール・シュパース) → 楽しんで!
Tschüß!(チュース) → さよなら!
Prost!(プロースト) → 乾杯!

ドイツ代表の国際大会の戦績

また、これまでのドイツ代表の国際大会の成績をご紹介します。ワールドカップ優勝回数は、サッカー王国・ブラジルに次ぐ4回ですが、準優勝や3位の回数も含めると、これだけ安定的に世界の上位に君臨している事実を見ると、もはやブラジルをも凌ぐサッカー王国と言って良いのではないかと思っています。

・ワールドカップ優勝4回(1954, 1974, 1990, 2014)
・ワールドカップ準優勝4回(1966, 1982, 1986, 2002)
・ワールドカップ3位4回(1934, 1970, 2006, 2010)
・ヨーロッパ選手権優勝3回(1972, 1980, 1996)
・ヨーロッパ選手権準優勝3回(1976, 1992, 2008)

今後、このマガジンでは、週1本のペースで、ドイツサッカーの持つトレーニングコンセプトや育成に対する考え方を学んで行きますので、もしよろしければ、定期購読マガジンへの登録もよろしくおねがいいたします。

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