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核融合ロケットの研究(23)/Blue Laser Fusion・スタートアップ企業

1)  前回の記事(22)におきましては、スタートアップ企業Ex-fusion社について書きましたが、その後以下の様な質問を送りましたら(7/20)、以下の様な回答を得ています。(8/3) 今は、会社が発展することを祈っています。
多分、コンスタントにゲイン(核融合出力/レーザーエネルギー)=10を達成すれば、皆が興味を持ってくれると思いますが。

質問:
 私たちのグループは、レーザー核融合の宇宙応用、すなわちレーザー核融合ロケットについて、研究をおこなっています。
今回、貴社のインパクトレポートで、2035年に商用炉実現(6p. ストーリー)を見つけて、元気づけられている所です。
なかなか、レーザー核融合を加速する記事は、他ではないですので。
https://ex-fusion.jp/wp-content/uploads/2023/07/Exfusion_Impact-report20230126.pdf

 そこで、質問ですが、先ほどのストーリーでは、2023年に、技術実証炉となっていますが、この炉はどの様なものでしょうか?
岩本さんの未臨界炉に近いものでしょうか。それと、ゲインは、1を超えますか?もし、1以下であれば、1を超えるのはいつごろになりますか?
その時のレーザーエネルギーはどの程度?お教えください。 よろしくおねがいします。

回答:
 2023年の技術実証炉では10kW相当のパルスレーザーを制御して10m先で10ミクロンの精度で標的物に照射できるようなシステムの開発を目標にしています。なのでこの炉ではゲイン1を超えることはありません。

 あくまで目標なのでプランは将来的に大きく変わることがありますが、現状は2035年には500kJ程度の高繰り返しレーザーを整備し、ゲイン1を超えて発電実証を行うことを最終目標にしています。


2)次に、中村修二教授のBlue Laser Fusion(BLF)社についてですが、
添付の記事を朝日新聞朝刊で見つけました。


朝日新聞記事 BLF

 ネットで調べてもあまり情報が得られません。多分、今は特許を出願中で、詳しいことは書けないのかもしれません。
 ただ、HB11(Protpn-Boron11)反応を利用するらしいです。もしこれがうまくいけば、我々が今まで前提としてきたDT反応とは違い、全然中性子を発生しません。なので、我々もこれに対応して、磁気ノズルの設計を一般化しておくのが良いかと思います。
 すなわち、DT用だけでなく、D3He, pB11にも適用できる設計指針を確立する必要があるものと思われます。

 以下にアドレスを添付しました資料は、数年前にpB11用宇宙船について私が書いた論文です。
この反応を用いれば、設計の自由度が増すものと思われます。船体構造は、VISTA型だけでなく、Star Trek型(表紙)でも良いのでは。

https://www.researchgate.net/publication/325771124_A_design_study_on_a_spaceship_employing_p-11_B_fusion-20_days_to_Mars

 このように、レーザー核融合においても、スタートアップ企業が複数社出てきて、2030年代には地上用で商用化など、核融合炉の実用化を加速化してもらえれば、大歓迎です。宇宙推進応用、すなわちレーザー核融合ロケットの研究にも弾みがつくものです。


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