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「An eye for an eye」は何の訳?

そうです。ハンムラビ法典です。

古代メソポタミア文明において作られた人類最古?の法律。

目には目を歯には歯を
で有名なハンムラビ法典です。

その意味は、やられたらやり返すのはいいが目をやられたら相手の目だけをやるにとどめ、歯をやられたら相手の歯をやるにとどめなさいというもの。

目を潰されたら相手の目を潰してもいい、歯を折られたら相手の歯を折ってもいいという意味ではありません。
この誤解は、私的な復讐が禁止されているという現代の法制度を無意識の前提として、その観点から古代の法律の特異性を見出そうとするところから生じるのかもしれません。
被害者が警察に被害届を出して裁判で犯人を裁いてもらうという制度は近代になってできたもので、古代社会では殴られたら殴り返すのは当たり前でした。
そのような場合でもやりすぎはダメ。自分がやられた限度で相手にやり返せというのが目には目を歯には歯をという決まりです。

この一節、英語では
An eye for an eye. A tooth for a tooth.
といいます。

日本語の名詞には単数形と複数形の区別がないため余計誤解しやすいですが、英語では上記のようにやり返していい対象はあくまで「a(an)」であり、1個の目には1個、1本の歯には1本の歯という関係が明示されているのです。
だから「鼻には鼻を」ではないんですね。
(ヘブライ語でも名詞には単複の区別があるらしいです。)

とにかく

やられたらやり返していいが
やりすぎてはダメ

このルールは最古のルールといってもいい、人間社会の根本的な秩序にかかわる何かを示しているような気がするのです。

たとえば子どもの教育にしても、
単に喧嘩はしてはいけません、いじめはいけませんとか言うよりも

やりすぎてはダメ

というシンプルなルールを弁えさせることが大事。

どっちが悪いとかどっちが先に手を出したとか言い分はいろいろあるでしょうが
子どもどうしでやりすぎはダメという共通認識があれば仲直りもできるし取り返しのつかない破壊も起きないのではないでしょうか。

他人に嫌なことをされて我慢した末にいきなりキレて刃物で刺す
というようなことも

弱者をいじめても反撃を受けないことが悪いフィードバックとなり、さらにいじめがエスカレートするということも

やられたらやり返す
でもやりすぎはダメ

というシンプルな行動原理が子ども同士に沁みついていれば起きないはず。

そういった過程を通じて社会性を獲得していくのだと思います。

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