名前のない関係。

ネトフリのアクターズショートフィルムシリーズの『あんた』を見た。

びっくりした。あまりにも私とあの人にそっくりだったから。

あの人のことを呼ぶときは、「あんた」ではなくて「あなた」だけれど。私たちはたまにふざけてお互いのことを「あなた」と言う。私はあの人に名前を呼ばれるのも好きだけど、たまに言われる「あなた」も大好き。「あなた」って言葉には、なんだか丁寧に私の身体を掬い取ってくれるような感じがするんだ。

『あんた』をみて、まるで自分たちのことを見ているようだった。

恋愛とか、カレカノとか、名前があるわけじゃない。そんなんに括られるような関係じゃない私たち。
『名前なんかなくてもいいじゃん。』
でも、名前がなかったら、私たちの関係が存在してるって言えるの?
名前がない関係であることが誇らしかったはずなのに、ある時から、関係に名前がないことが不安で仕方なくなった。

あなたの中に私は存在してますか?

あの人には彼女がいて、私はあの人のことが大好きで。しょっちゅう二人で会っては、他愛もない話をして。私はあの人が好きなものとか好きなことを必死に覚えてて。あの人は私なんかいなくたって平気そうな顔をして。
あなたとは一生関わっていたい。
あなたが私に言ってくれた言葉。
だからいつまでも名前をつけられないんだよ。名前をつけたらどこかで終わりが来ることを認めてしまうような気がしてる。


名前をつけなければ、一生あんたが私の隣にいてくれますか。

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