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機が熟すまで

朝、目を覚ますといつも思う
「あぁ、この現実が夢だったらいいのに」
窓から差し込む薄暗い光
昨夜の天気予報は晴れると言っていたのに
気圧のせいか気持ちのせいか
体が重くて思うように動かない
今日も冴えない日曜日になりそうだ


今まで私は1秒でも早く
この嫌な現実から抜け出したくて
長い間もがき続けてきた
もがきながらでも頑張り続けていれば
なんとかなると信じていた

でも、どう頑張っても
私ひとりの力では
どうすることも出来なかった

心が悲鳴をあげている
もうこれ以上、行動したら
自分が壊れてしまう

今は私の知らない所で
何かが動いているから
「お前は少しの間ジッとしてろ」と
見えない誰かに言われている気がした

「機が熟すまで」
私は何をしていればいいのだろう
何を考えればいいのだろう
焦るばかりで
体も頭も動いてくれない 

カーテンを開けると静かに降る小雨
窓の近くにあるレッドロビンの木の葉が
雨の水滴をたくさんつけて
キラキラ光っている
私はしばらくの間
ただ窓の外を見つめていた

突然あの人の笑顔が頭に浮かぶ
遠くから見つめることしかできない
優しいあの人
同じ空の下で
あの人は今何をしてるのだろう

目を閉じて、しばらくの間
遠くにある温もりに浸ってみる
カチコチに固まっていた気持ちも体も
じんわりと溶けて
柔らかくなってゆく

今日は無理をしない程度に
少しだけでいいから 
動いてみよう
ゼロではないから大丈夫
そう思えるようになれた

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