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私たち、いつからこんな風に なってしまったんだろう

普段は着ないワンピースを着て
何年かぶりに新しく買った 
ローズクォーツのネックレスをして
いつもと違う香りに身を包み
車の助手席に乗り込む私

いつもと変わらず生返事ばかりで
私の変化に1ミリも気付かない
運転席の彼

「ああ、やっぱりダメだ」と
諦めのため息をつく
こんなため息を
もう何回ついたのだろう

突然、降り出した雨の粒が
窓の外で次々と流れてゆく

雨に負けないように
せわしなく動くワイパーが
必死になっていた過去の自分みたいで
なんだか虚しい

長く続く無言の時間
私の中に微かに残った彼への気持ちも
雨と一緒にジワジワと流れてゆく

無理に明るくしようとして
当たり障りのない会話で
盛り上がろうとしても
いつまでも更新されない
使い古しの彼のギャグに
一気に失望の海へと放り出される

ドヤ顔で遠くを見つめる彼に
「あははっ」と軽く笑い返して
ウンザリを必死に隠す私

また沈黙が始まる

雨の向こうに、うっすらと見える
幸せそうな新しい家を
羨ましそうに見つめているうちに
空に向かって「助けて!」と
心の中で叫んでしまう

あと何回こうして2人で車に乗るのかと
カウントを始めようとする私と
このままずっと私が
隣にいるのが当たり前だと思っている彼

壊れてしまった絆に気付かないまま
いつまでも、しがみ付こうとしてる彼と
早くここを飛び出して
光の方に導かれようとする私 

私たち、いつからこんな風に
なってしまったんだろう

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