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禅とは何か 鈴木大拙
第一講「宗教経験とは何か」
すべては矛盾の苦
一つは事実の我であり、一つは自己の中において価値を求める価値の我である。この二つのものが矛盾するところにわれわれの苦しみは存在するのである。
知的宗教と情的宗教
仏教の中でも禅宗などはその知的な傾向を代表するものであり、浄土宗や真宗などはその中での情的な方面を代表するものである。
回心=窮して通ずる
大いに窮してその窮地から忽然と脱出する、これがその回心の意味の内容である。
外部の人々はこれを見かねて、何とか救ってやりたいと種々の方便を講じてくれるが、結局は自分自身で大死一番やった上で、そしてひっくり返ってこない以上は駄目なことである。
禅宗の悟り、他力宗の安心
知的である禅宗はこの事を悟道と言い、他力宗では安心を得たというのである。
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