黒木一家のファストミステリ集
真夏の強盗 「いやー、今日も暑いですね。黒木さん。遅い時間にすいません。今日こそはゆっくり食事できそうです」黒木家に遊びに来ていた伊藤アキラはそう言うと、キンキンに冷えた麦茶をグラス1杯飲み干し、食卓の真ん中に置かれたそうめんの入ったボウルに箸をつけようとした。
「伊藤さん、そんなこと言うと署から連絡あるかもしれないですよ」黒木ミカがからかうように言うと、タイミングを見計らったかのように伊藤アキラの携帯電話が鳴った。
「はい。わかりました。現場の近くにいるのですぐ行きます