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丸山健二『まだ見ぬ書き手へ』

前回の『文章読本』と異なり、こちらは未来の小説家を相手にしています。

はじめて読んだ丸山健二作品だったので、
「メイキング」的な楽しみ方はできなかったのですが、
骨太なメッセージが、ずしんと響きました。

わたしは、ようするにペダンチック、の否定だと捉えました。
「文学とはなにか?」
じつに定義づけしづらい命題ですが、
「権威の文学者たち」が、
レトリックでやたらゴタゴタとめかしこんで、
「そうだ、文学とはこういうものなのだ」と、
生活や本質から遠ざかったガラスの向こうで、
内輪のパーティーをやっている、そんな歪んだ現実。

そうではないのだ、
真の文学とは過去の書物からのみ生まれ得ないのだ、
という憤りと、もがきが伝わってくる一冊でした。

ちなみに、わたしはペダンチックな文章も、嫌いではない、です。

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