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『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』/阿佐ヶ谷姉妹(幻冬舎)【ブックレビュー】

毎回とても喜んで下さり、そしてその後のおすそわけの倍返し感ハンパなく。結果、両手がふさがるほどのお返しをいただいて、ドアノブをおばさんに回してもらって帰ってくる始末です。

『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』


いつも手作りおかずをくれるお煎餅屋さんに、姉・渡辺江里子が地方のお土産を持って行くとこうである。

嫁いだ娘が里帰りすると来た時の手土産の倍も食べ物を持たせる、なんて話は聞くけど『ドアノブをおばさんに回してもらって』とは!圧巻のお裾分けの量が目に浮かぶ。

特にこちらの餃子は、美食を味わいつくした名だたる芸能人をして「今まで食べた餃子で一番うまい!」と言わしめる逸品。読者の私はこの餃子やシチューやコロッケを貰うわけにはいかないが、その料理上手すぎるお煎餅屋さんの手作り煎餅や赤飯を食べてみたい!


お笑いコンビ・阿佐ヶ谷姉妹のエッセイが評判いいので気になって読んでみた。


テレビで見る2人の空気や仕草がみっちり詰まっていた。人によっては隠したいような所帯じみた日常を大切に、そして「ふふっ」と笑ってしまうように描いている。


名付け親の鰻と寿司の店のご主人。後援会長の中華定食屋の旦那さん。そして先述のお煎餅屋さん。
阿佐ヶ谷姉妹の愛され力もすごいが阿佐ヶ谷のご近所さんの愛する力もすごい。
よい人柄がよい人柄を明らかに引き寄せている様にはほっこりを通り越して快感を覚える。


そして人に対する愛と感謝が全編に満ち溢れているけど、いきすぎない自虐とユーモアと共に描かれているので決して優等生的にならない。読む者の胸にスッと入ってくる。芸人の真骨頂であろう。



姉妹による恋愛小説も収録されていて、妹・木村美穂による『3月のハシビロコウ』にはあまりにリアルすぎるストーリーの運びにドンドン引き込まれた。登場するお店をGoogle Mapで探してしまったほどだ。


もっと2人の阿佐ヶ谷の日々を読みたいけどお姉さんはエッセイ執筆途中に結構苦悩したそうなので、待ってないかのような顔をして待ちたい。

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