見出し画像

ペルソナ4 ザ・ゴールデンを語る

この記事は「ペルソナ4」、「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」のネタバレを含みます。ご了承ください

さて、今回は趣向を変えてオタク語り全開の記事となりそうです。
僕はペルソナ4 ザ・ゴールデン(以下P4G)を丁度半年くらい前に、Steam版でプレイしました。
ペルソナシリーズどころか、メガテンシリーズですらプレイしたことの無い状態で、ネタバレは一切されないままクリアしました。
全エンディング、全コミュMax、ペルソナ全書コンプ、エリザベス刈り取るもの撃破済みです。
アニメ版は無印ゴールデン共に未見、無印Ps2版未プレイ、ダンシング、アリーナ未プレイです。
P3P、P5Rクリア済みです。

長い前置き終わり。
どこから手をつければいいのか...まず1つ断言できるのは、P4Gは誰にでもオススメできる、非常にいい作品という事だ。
楽曲、ストーリー、システム、キャラクター...何もかもが高水準で、それぞれの要素がハーモニーを奏でているみたいに噛み合ってる。
では、良かった所を一つずつ述べよう

1.ストーリー

この記事を読んでいる方に説明する必要はないだろうが、簡単にまとめると「主人公が1年間生活する事になる田舎町で連続殺人が起こった。主人公とその仲間達は偶然にも『テレビの中の世界』に迷い込んでしまい、そしてテレビ世界が現実で起きている連続殺人と密接に関係している事を知る。
テレビの中で使えるペルソナという特殊能力を駆使して、殺人事件を未然に食い止め、犯人を捕まえろ!」と言った感じである。
特殊能力を持った高校生達がサイコな連続殺人鬼を追うという筋書きだけに注目すると、「ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイアモンドは砕けない」を思い浮かべる人も多いだろう。

後述するキャラクター達の良さを、P4Gのストーリーは上手く活かしている。例えば主人公とその最初の仲間たち「花村陽介」と「里中千枝」は3人とも高校2年生で、その後すぐに仲間になる「天城雪子」も2年生だ。
だが次に仲間になる「巽完二」、「久慈川りせ」、「白鐘直斗」は全員高校一年生で、「クマ」に至っては人間では無いので学年自体が存在しない。
最初に2年生が仲間になり、次に1年生と人外という流れは非常にわかりやすいし、プレイヤーにも優しい展開なのだ。

なぜそれが「プレイヤーに優しい展開」なのか?
ゲームというのはプレイしている人全員がエンディングまでプレイしてくれる訳では無い。途中で投げたりして、その作品の真の魅力にたどり着けぬまま辞める人が多いのが、ゲームという媒体の弱点と言えよう。
P4Gの大きな魅力。それは「友情」だ。
それを、序盤で2年生組が仲間に加わるという展開で魅せやすくしている。例えば雪子が1年生だったら林間学校はあまり盛り上がらなかっただろうし、雪子だけ仲間外れ感が出てしまうかもしれない。
だが、全員が同じクラスで授業を受けているおかげで、短い会話の中でも「彼らは本当に仲良しなんだなあ...」と感じる事ができる。

序盤だけではなくP4Gのストーリーは全体的に魅力的だ。主人公達の目的は最初から最後まで全くぶれておらず、徹頭徹尾殺人事件の真相解明に終始している。
コミュイベントがいわゆる「サブイベント」と捉えられるかもしれないが、「コミュ」システムがストーリーに非常に上手く溶け込んでいるため「高校生活を送りながら殺人事件を追う」という構図を、全編通してマンネリさせることなく保つことが出来ている。

また、主人公達が最初から最後まで「ペルソナが使える高校生」の域を出ないのも魅力的だ。ペルソナ3やペルソナ5では、「仲間の1人が財団のお嬢様」だったり「凄腕のハッカー」だったりしているが、P4Gの仲間達は全員「ちょっと凄い高校生」の域を出ていない所に親近感が湧くのだ。
主人公たちだけではなく警察も動いているし、主人公達は殺人やハッキングなんてしないし、財力もない。
コミュシステムや定期テスト等も相まって、高校生活という舞台にリアリティを持たせている。

本筋の連続殺人だけではなく、人々との交流であるコミュイベントも魅力的なものばかりだ。
特に「剛毅コミュ」の展開では不意打ちを喰らって泣きそうになったし、「法王コミュ」では堂島さんのかっこよさが際立った。「高校生活」というテーマを深く掘り下げ、物語をいろどるサブキャラクター達を登場させ、物語に関わるメインキャラクター達も掘り下げられる。
コミュシステムは、正にペルソナシリーズの様なジュブナイル物にしか扱いきれないといっても過言ではない。


2.キャラクター

今作の1番の魅力。メインキャラクターからサブキャラクターまで全ての登場人物に何かしらの特徴があり、印象に残りやすい。
今作のキャラクター達は、ペルソナに覚醒する前に必ず自分自身のシャドウと対面しなくてはならない(主人公は例外)。
ゲーム開始して40分くらいで既に最初の仲間である陽介の心の闇が見れるのは衝撃だった。
普通キャラクターの心理描写というのは、そのキャラクターの「表の顔」を描写してから「裏の顔」を描写するものだが、P4Gでは「裏の顔」が早々に明かされるため、キャラクターに感情移入しやすいのである。

何故なら、シャドウとは登場人物の悩みを擬人化させたものに他ならないからだ。
また、それぞれの悩みがごく一般的なものでわかりやすく、共感しやすいのもポイントだ。「本当の自分を知って欲しい」、「自分を受け入れて欲しい」、「早く大人になりたい」...どれも高校生らしい現実的な悩みであり、感情移入できるプレイヤー層を選んでいない。
最初にそのキャラクターの根幹となる部分を提示して、コミュでそれを掘り下げ、新たな一面を魅せるという方法で、キャラクターの魅力を最大限引き出せている。

前作ペルソナ3無印/FESでは男の仲間キャラとのコミュニティが発生しなかった故順平や明彦のキャラに深みがないように感じられたが(FES、Pでは改善)、今作は男の仲間もちゃんとコミュで掘り下げている所は大きな評価点だ。

メインキャラだけではなく、サブキャラクター達も魅力的で、コミュをどんどん進めたいと思わせてくれる。彼らもみんなそれぞれの悩みを抱えていて、どの悩みも現実的だ。特に主人公がお世話になっている堂島親子の関係性は面白く、非常に魅力的だ。

個人的にお気に入りのキャラは、クマと陽介だ。
クマは正直普段のキャラははっちゃけすぎててあまり好きではなかったのだが、三学期の覚醒イベントで評価がガラリと変わった。主人公に面と向かって行かないでと、泣きながら言う仲間はクマだけだった。クマの純粋さと素直さ、主人公に対する好意と感謝の気持ちがひしひしと感じられるいいシーンだった。
陽介はザ・相棒という感じで、陽介が発言しているだけで話が楽しくなる魔法の様なキャラだ。だがその明るい面を持ちながら、小西先輩の事件の復讐に燃えている所のギャップがいい。コミュmaxイベントで主人公と殴り合う(or抱きしめる)のも、片思いしていた先輩を諦めきれないのも等身大の高校生らしくて好きだ。

3.システム


戦闘システムは「真・女神転生3」以降のアトラス製RPGお馴染みの「プレスターンバトル」が進化した「ワンモアプレスターンバトル」を採用している。これ自体は前作「ペルソナ3」で既に実装されていたシステムだが、今作では遊びやすくなってさらに進化を遂げている。
具体的には、全体攻撃をした際に1回でも弱点属性に直撃・クリティカルを叩き出したらワンモアが取れる様に変更されていたり、パーティーに参加していないメンバーが「バイク追撃」をしてくれたり等だ。
また、味方キャラに直接命令を下せる点は大きい。P3、P3Fでは仲間達に直接命令を送ることが出来ない上に、味方のAIの性能も決して良くない事が批判されていたが、今作ではそういった問題はなく、安心して戦える。こういった「システム上の制限」はペルソナ3のストーリーやテーマに沿っていたが、エンタメ性を追求している今作とはあまり相性がよくない為変更されたのだろう。

だが今作の1番の目玉はやはり「コミュ」システムだろう。
もはやペルソナシリーズを象徴していると言っても過言ではないコミュシステムはP3の物より改善されて登場している。
(内容的な意味で)前作との違いは、
・同性の仲間キャラとコミュが築けること
・「愚者」コミュに所属しているキャラとは人間パラメータの値に関係なくコミュをきずけるようになったこと
・異性キャラとは恋人になるか友人のままでいるか選択できるようになったこと
・バイト先でコミュが発生すること
・全コミュMAX達成が現実的なレベルになったこと
...特に大きな違いはこれくらいだろう

ゲームとしての遊びやすさが前作より格段に改善されていて、とにかく快適に作られている。


4.楽曲

ペルソナシリーズを語る上で楽曲はスルーできない一大要素だ。今作の楽曲はP3以降の、スタイリッシュなボーカル曲路線が主だが、P3のジャス・ラップ系統の曲とは違ってロックやポップ系統の曲が多い。P3の曲の多くはは夜を連想させるが、P4は昼を連想させる、明るい楽曲が多い。
通常戦闘曲「Reach out to the truth」、「Time to make history」は戦闘シーンを大いに盛り上げてくれる名曲だ。歌詞も非常にストーリー内容とマッチしており、歌詞の意味を知っていると更に盛り上がれる。
主題歌の「Shadow world」も、ポップな曲調とシリアスな歌詞が上手く強調しあってオリジナリティーに溢れている。
前作の戦闘曲及びOp曲では「死を乗り越える」という作品そのもののテーマを歌っていたが、今作でもそれは同じである。「絶対に犯人を捕まえる」、「何があっても仲間達を信じる」と言った、特捜隊の絆が強く押し出されており、そのテイストが物事をハッキリと言う英語という言語にフィットしているのだ。

また、あまり語られることが少ないが、今作で非常に秀逸なのが「ダンジョン内BGM」だと思う。「暑苦しいところは暑苦しく」、「物悲しげな所では悲しく」と、ちゃんと各ダンジョンの雰囲気やその時々のストーリーの状況をはっきりと表現している。
特に最終マップで流れる「回廊」が一番のお気に入りだ。不気味なピアノ音と、それまでのマップBGM(それどころか今作のBGMとしては非常に異質)とは一線を画する雰囲気で、ラスボスの異常性を上手に表現出来ている。またサビ(?)の綺麗なピアノ音がこのゲームの終わり、そして目前に迫っている仲間たちとの別れを惜しんでいるようで、プレイヤーの感情を揺さぶってくる。全編通してノスタルジックな雰囲気を醸し出している今作において欠かせない、「別れ」の演出の一つである。


総評

あなたには、子供の頃の素敵な思い出はあるだろうか?友達と小さな、もしくは大きな冒険に出てワクワクした経験はあるだろうか?たとえあなたが田舎育ちではなく、そもそも田舎で暮らしたことがない様な都会人だったとしても、田舎という舞台はノスタルジーを感じさせる最高の舞台なのだ。
P4Gは大人にも子供にもオススメできる作品であり、非常に高いクオリティーのゲームだ。
子度の頃のあのワクワクを思い出したい大人の方や、「日常からちょっとはみ出した非日常」を体験したい中高生にオススメだ。
本作は長らくプレイ可能ハードのハードルが高かったが、現在steamでは2000円前後で購入が可能だ。時間があるならば、プレイする事を非常にオススメする。

最終評価:10点満点中10点


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?