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冬の百足

【チェンマイ俳句毎日】2024年1月19日

熱帯の冬の百足は発光す

早朝に目が覚めた。外はまだ真っ暗だけど、今朝は托鉢の僧が来る。夫を起こさないよう電気を点けずに布団の脇に置いた靴下を手にとったら、シーツにキラリと光るものが落ちた。青緑がかった黄色い蛍光の粒。靴下を振るとキラキラっと光の粒が散らばった。光はしばらく粒のままシーツの表面に残っている。蛍の光に似ているが、蛍の光ってこんな風に散らばったっけ?   寝ぼけた頭を混乱させつつ、もう一度靴下を振ったら、光る紐がぽとりと落ちた。ちょんとつつくと光を撒き散らしながら、紐の体をうねらせた。

ティッシュペーパーで包んでも、紐状の光が透けている。気味が悪いので、ぐるぐる巻きにしてゴミ箱に捨てた。怖くて正体を確かめる気はしなかったが、ゴミ箱の蓋を開けたら何重にも包んだはずのティッシュから、正体が頭を出していた。2つの大きな触角、糸ミミズより細い体にびっしりと生えた足。すばしっこい、あの動き。小さなムカデだ。毒があるかもしれない。テープでくっつけて逃れられないようにしてからビニール袋に閉じ込めたら、一度だけ光って動かなくなった。

暁闇の光る百足虫を捨てにけり   
托鉢を施す前の百足駆除(🙏)


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