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花過ぎ

【チェンマイ俳句毎日】2024年4月30日

花過ぎの目鼻もつたりモラエス像
青楓パゴダを護る対の獅子


眉山へ登った。子供の頃はよく元旦に初日の出を拝みに家族親戚で登っていたが、今ではどの登り口から登ったのかすら忘れてしまっていた。
頂上には鶯が盛んに鳴いていた。眼下に徳島の街と新町川や助任川、雄大な吉野川が見晴らせる。天気がいいと瀬戸内海や和歌山の方まで見えるそうだ。時おり、ガタンゴトンと汽車の音や、ボーという港に入る船の汽笛が聞こえる。

眉山の頂上にはビルマ様式の仏塔が建っていて、太平洋戦争中のインパール作戦で没した戦没者やビルマから贈られた仏舎利が納められている。タイ北部のチェンマイにもビルマ様式の仏塔がたくさんあり、街のどこからでも見えるドーイステープという山の頂上にも仏塔が建てられているので、仏塔を見るとほっとする。

頂上の公園に、17年間を徳島で過ごし1929年に徳島で没したモラエスさんの銅像があった。日本の風物を数多く書き残していて、徳島の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)といわれている。近くで見ると、程よくゆるい造形で、足元には八重桜の淡いピンクの花の絨毯が敷き詰められていて、のほほんとした春らしい脱力感に満ちていた。


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