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半夏生 * チェンマイ俳句毎日

【チェンマイ俳句毎日】2024年7月2日

半夏生マンゴスチンに染まる爪


天秤を担いで商品を売り歩く商人の姿は、チェンマイの街では随分減ってしまったけれど、まだ現役で頑張っている年配の天秤担ぎもいる。
チャンモイ通りで、果物を天秤で運んでいるおばさんを呼び止めた。

天秤を下ろしたところが、束の間のミニ商店となり、買い物客がわらわらと集まってくる。味見してみて、と渡されたマンゴスチンを道端につっ立ったまま2つに割る。マンゴスチンは、濃い紫色の分厚い皮に爪を差し込んでぎゅっと押すと簡単に割れて、中から真っ白な実が現れる。
その実は口の中で溶けるように柔らかく、ライチに似た爽やかな香りが広がる。糖度はとても高いがキュンと酸味もあって、さっぱりした味。夫はジューシーなライチ派、私は断然マンゴスチン派だ。

おばさんは、吊り下げタイプの計量器で測ってくれた。支払いは今ではむしろ珍しい現金のみ。地面に置いた天秤を担ぎ直しながら、かれこれ40年近くこの仕事をしていると、はつらつとした笑顔で言うと、またゆっくりと歩いていった。


✍️半夏生 

七十二候の一つで、夏至から十一日目に当たる七月二日頃。かつては田植の終る頃とされた。


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