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約5年、AIに本気で取り組んできたエンジニアが2020年のAIの市場(ハイプサイクルでどこか)を考えてみた

2015年初頭にgoogleの技術革新のニュースを見て以来
AI(人工知能)は「なんてすごいことができるんだ」と衝撃を受け、魅了されAIを仕事にするようになった僕ですが、2020年現在までにAIに人々が求めることや、イメージや、プロダクトなど大きく変化してきたように思います。
その変化について語っていきたいと思います。

僕は何者でどういう立場の者かといいますと、ベンチャーのAI(機械学習)エンジニアリーダーなどを経て、プログラミング実装から海外の最新技術トレンドも把握してきたエンジニア側の人間です。


まずAIの定義が人によって違い過ぎる問題  


AIの市場成長とか使われ方がどう、と知るためにはAIの定義がハッキリしていないといけません。

しかし、まずAIあるあるとしてよく言われることは
「とりあえずAIって呼んでおいて、売っておけ」的な風潮です。
これによってAIの定義がかなり人によって違ってきてしまっています。


エンジニアがAIと呼ぶのは多くの場合で「機械学習」というもので
「機械学習」の中のひとつの技術が「ディープラーニング」です。
「機械学習」を簡単に言うと「データを突っ込んで自動で学習させれば、自動で答えを出してくれる」技術です。

例えば「よく高級車を買う人」を見つけたいとすれば
「よく高級車を買う人」と「買わない人」の属性や購買履歴を学習させると
「よく高級車を買う人」の特徴や、新しい顧客などが「よく高級車を未来に買いそうか?」がわかるということです。
(「機械学習」について詳しくはググればいろいろわかりやすい記事が出てくると思います)

ということで、まずAI≒「機械学習」として話を進めていきます。


AIの国内の市場規模予測を検索すると
「2020年度に約1兆円」[1]、でも一方では「2023年に640億円」[2]という控えめな推測もあります。

さて、エンジニア目線の肌感はどっちに近いかというと
後者640億円の側のように感じます。
一方で、これだと狭義すぎてもう何倍かは大きい金額の市場であってもおかしくはないと感じます。

約1兆円市場が大きすぎると考える根拠として[1]の記事では
"自動運転トラック輸送など運輸業関連市場が急速に立ち上がり"とありますが、
たしかに、自動運転にAI≒機械学習が使われていることは確かでしょう。
けれども、自動運転の主軸はSLAMという大まかに言うと「地図を作りながら移動する」的な技術で
「いかに遠くの距離まで正確に測定できるか?」というレーダー技術なども大切で
AI≒機械学習は自動運転技術の一要素でしかないという捉え方もできるからです。

また、後者640億円より実際は大きな市場規模がありそう、と言える理由は
"日本マイクロソフトや日本アイ・ビー・エムなど33ベンダーの売上高を合計・推計"とありますがAI≒機械学習に関してはご存知の通り、かなり多種多様な企業も取り組んでいるので、限られたベンダーについて合計するのは微妙だから、という理由です。

はっきりとした数字では推定できませんが、これが僕のAIに関する市場規模の感覚です。


2015年からの5年間でブームは一旦過ぎた感、だが根付きつつあるAI 

googleトレンドでの「人工知能」と「機械学習」の検索数の2014-現在までのグラフが下の画像です。

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これはAIの現場で取り組んで来た自分の感覚とかなり一致しています。
2012年に技術革新が確認できたことで、2015年前からアーリーアダプターの間で
「人工知能ってすごい、もしかして世界を一変させるのでは?」と話題が増えつつありました。

2015年・2016年くらいのgoogleなどの取り組み
例えば「AIが囲碁の世界的プレイヤーに勝った」とかあそこらへんで
一気に世間の認知度が最高潮に達しました。

結果、2016年では「AIを開発したい」と多くの企業からの引き合いがありましたが
そこまで真剣度も必ずしも高くはありませんでした。
そういった「流行りでちょっとやってみたい」層がAIに取り組んでみた結果
簡単に使いこなせない場面も多くあり、徐々に引いていったのが2017年頃だと思います。

加えて、熱を失っていったのは開発を希望するビジネス側だけではなく
エンジニアや研究者たちが「今のAI(≒機械学習)はここが限界か・・・」と感じた点はかなりあったと思います

根源は一点、AIに対する過剰な期待、つまり、AIは何でもできる!すぐできる!万能!という夢を
エンジニアたち自身も見すぎていて、「やってみるとアレとアレが難しい・・・」的なところがボロボロ出てきたことだと思います。

知り合いのエンジニアが「トップAI研究者たちのモチベーションが下がってきてる気がする」と
たしか2017年頃にfacebookに書いていたのが印象的です。
ホンモノのトップ研究者なら周りがどう思おうが、難問だろうが、支援が厳しかろうが
考え抜いているイメージはあるので、これが正しいのかはわかりませんが。


でも、一言自分の想いを付け加えるならば
いずれやっぱりアルゴリズムは世界を一変させると思います、そして人類を超越すると思います。

なぜなら、エンジニア目線から見ると多少の幻滅期があろうが
かなりのスピードでAI周りの技術は進化しています。

2045年ごろ人類を超越する的なシンギュラリティー予測がありますが
あながち可能性がとても低くはないと思っています。
(でもエンジニアには人類を超えるには50年,100年くらいかかると思っている層もいます)


そして、googleトレンドのグラフのもう一方の線である「機械学習」が伸びています。

これは「人工知能」で検索していた「少し興味がある層」から「本格的な知識を求めている層」に変化したことと、機械学習をビジネスにして参入しようというエンジニアや企業が増えたことを表していると思っています。


AIをハイプ・サイクルグラフで表すとどんな感じか? 

ガートナーのハイプ・サイクルに当てはめてみるなら
個人的には以下の感じかなと思っています。

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まとめ 

つまりAIはエンジニアからすると「機械学習」という技術で
「機械学習」に関して言うと、AIブームは一旦幻滅期を超えたあとに
根付きつつある、という段階だと思っています。

個人的にも今後も機械学習などデータ分析系の技術が
自動運転・翻訳・医療データ分析・・・などなど
ジワジワ人間を超えるソフトが増えていき
また10年以内くらいに次の技術革新が起きるのでは、と予感しています。

[参考文献]
[1]https://www.projectdesign.jp/201704/ai-business-model/003521.php
[2]https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2001/14/news086.html

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