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大量生産時代における洋服の多様性▶︎Start-upログ⑫

元旦に起きた震災や世界中の悲しみにフォーカスがいき、言葉を見つけることに時間を要しました。
皆さんが健康で、愛と希望に包まれていますよう心より願っています。
本年もよろしくお願い致します。


アラフォー、バツイチ、頼りないドイツ語のままベルリン在住11年目。
服飾/舞台衣装デザイナー。コロナの都市封鎖により全劇場閉鎖=全仕事が吹っ飛んだことを機に、立ち止まり改めて仕事と向き合うことに。そこでの気付きを元に方向性をまるっと変え、一念発起で新事業を立ち上げる!と、いう。このブログは、そんな彼女の新たなる挑戦ドキュメンタリーである。


もったいぶっていた訳ではないけれど、新しいことを始めるにあたって、周囲にどこまで手の内を見せていいのかがわからず伏せたままだった新事業内容。気持ち新たに新年度1発目の記事は、思い切って今立ち上げているスタートアップ会社の事業概要をご紹介してみようと思います。

デザインから縫製、最後の仕上げまでの全工程を自分で出来るファッションデザイナーになる!!という夢を叶えた先で出会えたアイデアです。


事業内容

今立ち上げているのは、デザインから縫製までを自社生産で手掛けているブランドを集めた洋服のオンラインショップです

事業の核は、個々の身体的相違(ハンディキャップや規定サイズS,M,Lにうまくはまらない)に関係なく、クオリティー&センス共に良い洋服を楽しんでいただけるプラットフォームを提供すること。

コンセプト

① 身体的相違に関わらず、誰もが気軽におしゃれを楽しめる環境を創ること

② 洋服を通して、作り手の思いやりを可視化すること

③ お洒落をする喜びを公平にすること

事業バリュー

① 洋服の大量生産が主流となり単価が安くなったことは、流行り物が好きな人たちには嬉しいことかもしれません。でもその陰で、服飾ごみは膨大に増え、細部への心配りは減り、品質が落ちたことは否定できません。何より着用者のターゲットは、マジョリティーに絞られています。このシステムに風穴を開けたいのです。

わたしが目指しているオンラインショップでは、各ブランドの素敵デザインに加えて、大量生産では拾えないお客様の希望を叶える微調整を+αのサービスとして提供します。
(サービス内容の詳細は、ショップ開店まで今しばらくお待ちくださいね。)

② 規定サイズを選ぶお客さまも、規定サイズに満足していないお客さまもみんなハッピーにします。

③ このオンラインショップに行けば、自分の身体にジャストフィットする洋服を必ず見つけることができ、探す手間を省くことが可能です。

ビジョン

① 個々の違いを尊重し、誰もが生きやすい環境を作る

② 誰も取り残さない
"Leave No one behind." = "誰も取り残さない"
この言葉との出会いは、数年前に多くのシリア難民がヨーロッパへ流れ出た時に遡ります。多くの国々が、面倒なことになりそうなので「うちには来てくれるな。」と口を揃える中、メルケル元首相をはじめ、多くのベルリン住民が段幕まで作って難民を歓迎するために掲げていたスローガンです。
過去にドイツが犯した虐殺を忘れてはいけない。今こそ支援が必要な人々に手を差し伸べる時だ、と。現実には、受け入れ後ドイツは多くの課題を抱えることになったのですが、この心意気は、わたしの心を大きく揺さぶり、器を広げ、幹となりました。

2020年初頭、コロナの大混乱中にベルリン各地で行われていた移民受け入れを訴えるデモ   ©EPA

アイデアの発端

8年前、友人がバイク事故による脊髄損傷で車椅子生活となりました。
生死を彷徨い車椅子での過酷なリハビリを終え、ようやく退院して再会した時、彼は嘆いていました。「大変なことはたくさんあるけど、その一つが着替え。自分の足で立てなくなってから、以前好きだったパンツが履けなくなった。オシャレして出掛けることが好きだったけど、今は着替えるのが大変で外に出るのが億劫だ。。」と。
彼の車椅子仲間も、それが理由で引きこもりになったことや、車椅子の人たちのことを考えてデザインされた洋服は、ほとんど存在しないことも話してくれました。

その言葉を聞いた時、作り手として淋しさを感じると共に、恥ずかしくなりました。周りに車椅子の人がいなかったから考えたこともなかった。物が溢れている先進国にも関わらず、少数派の人々が必要なものがない。光が当たりにくい。やろうと思えば、何でも作れる環境にいるのに。。

わたしが落ち込んでいても何も変わらないので、早速作ってみることにしました!

過去の企画

洋服のバリアフリー

© Kahori Furukawa

2019年秋、車椅子になった友人にデザイン監修をお願いし、彼の希望を全て詰め込んだパンツをデザイン&制作しました。

コンセプトは、
車椅子の方々にとって快適で、且つ健常者が履いてもお洒落なパンツ
です。

当初は、まだまだ元気のなかった友人に少しでも喜んで欲しくて個人用として制作していましたが、進めて行くうちに同じ境遇の方々にも喜んでもらえるのではないか?と思い、Makuakeを通してクラウドファンディング に挑戦してみました。


裾のジッパーを開閉するで、ストレートとテーパード2種類のスタイルを楽しむことが可能
色は、ブラックとカーキの2色展開

特徴

① 前開閉部のジッパーを長くすることで、より広く開き着替えやすい
② サイドポケットに加えて前太もも部分にポケットを付け、座った姿勢 
     でもポケットが使いやすい
③ バックの縫い目をなくし、長時間座ったままでもお尻への負担が軽減さ 
     れる 

一枚布で作られた後ろ身頃

45日間のチャレンジ期間で43本を売り上げ、たくさんの応援もいただいて、目標金額50万円を達成することが出来ました。

おわりに

企画第一弾はその後、忙しい日常の中に埋れてしまっていました。
そんな最中、コロナによるロックダウンで全劇場が閉鎖され、抱えていた舞台衣装の仕事が吹っ飛んだため、改めて自分と向き合う機会が訪れました。

自分掘り下げ作業は、とても苦痛で不安な時間でした。それでも、結果としてあの時間は、立ち止まって改めて仕事と向き合うとても貴重な時間となりました。
"今まで学んだことで社会に貢献したい" 
心の中の小さな灯火を見つけ、新たなスタート地点へと導いてくれたと思っています。(今までは、基本自分の作りたいものを作っていたので。)

この企画は、まだチームにもなっていないので、正直孤独で不安です。
でも同時にそれは、今までの自分の知っている狭い世界でしか見ていないから。という気持ちが強くあります。
だから先ずは、いろんな人に会い、どこまで行けるかというワクワクを羅針盤にして、やってみます!

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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