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たけのこレーダー

田舎生まれで、春になるといつもどこからかタケノコがわんさかやってくるしあわせな環境だった。

たけのこは、いつのまにかどこかからやってくるものだとしか思っていなかった。

もちろん、たけのこが地面からはえてくるのは知っているし、見たこともあるけれど掘るのも茹でるのも料理するのも自分じゃなかった。あぁ。ポカスカ。ありがたい環境に甘え切ったジェリービーンズだったのか!!!

たけのこを、いつか掘りたいと思うようになった。そんな中仕事でお邪魔するおうちの庭に竹が生えているのを見ておずおずと聞いてみる「たけのこ、掘らせいただくことはできませんか?」すると

「えー!!そんなモノ好きいるの??毎年人を頼んでお金払って処分してるのに!掘ってよ!道具もあるから!!あと、伸びたやつは切ってよ!」

と、いうわけで人生たけのこ掘り決定!!

この日のためにイメトレと聞き込みを重ねてきた。地元のたけのこギルドのギルド長から「1ミリでも地面から顔を出したものは掘ってはいけない。足で触って、顔を出す前のものを探し出せ!」としつこく言われていたので微妙な地面のひび割れや奇妙な盛り上がりを探す。

するとどうだろう。わたしはたけのこ掘りのために生まれてきたのではないかと思うほど次々と地面の中のたけのこが見つかるではないか!天才降臨!!

足で触れもせず、地面の変化のみで獲物を見つけ出すわたしのことを友人が絵にしてくれた。なぜか耳がレーダーということになっている。それが一番上のイラストだ。

2日にわたって12〜3本掘った。
たけのこの庭の持ち主さんがすぐさっと茹でてくれて(アク抜きなど必要ないほど掘り立てフレッシュだ)、ご近所さんたちにも配ったりした。

わたしの人生第一回たけのこ掘り大会は大成功におわった。自分にたけのこ掘りの才能があるなんてしらなかった。ただ、この天賦の才を生かす道が今のところない。

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