No.8 組織文化とは何か

組織文化は重要であると当たり前のように言われているように思う。しかし、自分を含めた多くの人にとって何となくわかっているようで、実はわかっていないものでもあると思う。

そもそも組織文化とは何なのか。なぜ組織文化はなぜ重要なのか。どのような組織文化が望ましいのか。どのような組織にとっても望ましい普遍的な組織文化というものは存在するのか。組織文化を醸成するための原理・原則はどのようなものなのか。

組織文化に関する研究は無数に存在すると思うが、自分自身の体験に基づいて考えてみたい。

今回は、組織文化とは一体何なのかという問いについて。

私はこれまでにITベンチャー、教育コンサル、外資系広告代理店に務めてきた。それらの会社で働く中で、特有の組織文化を感じた体験にはどのようなものがあるだろうか。

➢プロジェクトが終わった後には必ずCA(Check&Action)という振り返りを行なっていた
➢ 全社でのメーリングリストでかなり率直なフィードバックをし合っていた。360度評価も頻繁に行われていた。
➢ コーポレートカラーがオレンジで、販促物はもちろんのこと、オフィスの内装、社長の服装までオレンジだった。
➢ 「相手視点」「他責・自責」「イキイキ」など、メンバーが頻繁に使う共通言語があった。
➢ 採用面接において「一緒に働きたいと思うかどうか」ということを何度も問われた
➢ トイレに行動指針(ウェイ)が掲示されていた
➢ 新卒採用の取り組みをかなり力を入れて行なっていた
➢ 毎年全社合宿が行われていた
➢ オフィスの内装にかなり拘っており、各階毎にコンセプトがあった。とてもオシャレでカッコよかった
➢ 働いている人は基本的にオシャレで、かなりラフな服装をしている人が多かった。そして、美男美女が多かった(ように感じた)

ここに挙げているものはごく一部に過ぎないが、こうして改めて思い返してみると、数多くの場面でその会社特有の文化を自覚的、無自覚的に感じ取っていたことを実感する。

では、これらの体験を基に組織文化とは何かという問いに立ち戻って考えてみたい。

先ほどの私の体験には、習慣や慣行、仕組みや制度、共通言語、デザインや服装などの外的様式などが挙げられている。これらに共通している何かが私にその会社特有の文化を感じさせたとしたらそれは一体何だろうか。

改めて考えてみると、「組織の構成員が共有する特有の信念体系」を感じ取っていたように思う。

信念体系とは、私たちは何を大切にするのか(価値)、私たちは何を選択するのか(方針)、私たちは何を欲しているのか(欲求)、私たちは世界をどのようなものであると考えるのか(世界観)、私たちは何を美しいとするのか(美意識)、私たちは何者であるのか(自己認識)といった「信じている考え方の集合体」のことである。

平たくいうと、組織の価値観とも言えるかもしれない。

「成長に関わる」という価値観をメンバーが共有しているからこそ、その表れとして、振り返りやフィードバックという習慣や慣行が生まれ、存続する。

「クリエイティブである」という価値観をメンバーが共有しているからこそ、オフィスや服装など細部に至るまでクリエイティブでカッコいいものになる。また、それに共感し、惹かれたオシャレな人が集まる。

どうやら、組織の価値観(組織文化)という目に見えないものが、習慣や慣行、仕組みや制度、共通言語、デザインなど目に見える様々な様式を生み出しているようだ。

そろそろ、組織文化とは何かという問いに対する自分なりの考えを結論としてまとめておきたいと思う。

組織文化とは、組織の構成員が共有する特有の意味体系である。そして、組織文化は組織の外的様式に影響を与える。


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