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健康と不健康の間でもがく話。

胃もたれがすごくて眠れない。

たまにこういう日がある。慣れないものを食べた日とか、脂っこいものを食べ過ぎた日とか。自分の胃袋と胃粘液と胃酸のバランスが崩れてしまったのか、その辺のメカニズムはよく分からないけれども、胸の辺りがムカムカして如何ともしがたい。

確実に分かっていることは、昨夜は調子に乗って、どデカい袋のあさりバターポテトチップスを食べながら、キリンの瓶ビール一本を一人で開けてしまったことだ。

先ほど、胃薬を服用したので、じきに良くなると思うが、もうしばらくこの不快感との格闘は続くだろう。焼けるような胃の気持ち悪さが引いていくまで、くだらない話をしてみようと思う。


昨日、あさりバターポテトチップスを食べた。それと、瓶ビールを丸々一本飲んだ。

それは上にも書いた。何気ない日常に見えるかもしれないけれど、私にとっては珍しいことだ。

なぜなら、私は最近、お酒もあまり飲まないし、脂っこいお菓子も控えていたからだ。その理由は幾つかある。いや、二つかな。

まず一つは、友人の結婚式が来月末にあるから、せっかくならば少しでも体型が締まった状態でスーツを着たいからだ。サラリーマンとして働いているのに、ここ数年はスーツを着ない日の方が多い。家で働いているからだ。

家で働いていると格好には無頓着になりがちだけれど、せめてビデオ会議がある日は、ヒゲもちゃんと剃るし、襟付きのシャツを着て勤務するようにしている。

でも、そうでない日は、別に誰に見せるわけでもないし、ヒゲは甘めの剃り方にするし、格好も、少しくたびれた服を身に纏う。甘めの剃り方ってよく考えると意味がよく分からないけれど、要するに、深剃りしないということだ。

私は肌が弱い方なので、強くそして深く剃れば剃るほど、肌を傷つける傾向にある。結構ヒゲが伸びた状態で剃るならば問題ないが、伸びが甘い状態で剃ると、カミソリ負けしてすぐ肌が赤くなる。そして何よりクセモノなのが、ヒゲが濃いから、ちゃんと剃ろうと思うと強くそして深く剃る必要があるということだ。

ヒゲを剃りたいけど、剃ると肌が弱くてすぐ傷ついて赤くなる。でも、放っておくとヒゲが濃いからすぐ生えてきてしまう。ああ、この日はビデオ会議があるからヒゲを剃っておかないと、なんか顔の下半分が青くなった状態で打ち合わせに臨むことになってしまう。そしたら「あれ、なんか顔、青くないっすか。光の加減かな、それとも体調悪い?」なんて同僚に心配されてしまうかもしれない。かと言って、毎日きれいに剃ろうとすると、カミソリ負けして、今度は顔が真っ赤になる。同僚は「なんか赤いっすよ。二日酔いっすか?」と笑うかもしれない。「青」(完全にヒゲが伸び切った状態)で行くべきか、「赤」(カミソリ負けして肌が赤くなった状態)で行くべきか。どうしよう。

という葛藤の末、私が編み出した方法が、「週3回髭剃り」制度だ。

まず月曜は定例ミーティングがあるので剃る。スベスベだ。火曜日は、少しヒゲが伸びてきている。口元は若干「青」の状態だ。でもまだ剃らない。この状態で剃るとカミソリ負けして「赤」になる。この日はビデオ会議があるかもしれないし、無いかもしれない。分からない状態ならば、若干の「青」で乗り切る。そして水曜日。この日は剃る。なぜなら「青」レベルがさらに増すからだ。これはもう誰が見ても「青」だ。これは社会人としてマズい状態なので剃る。ただ、ヒゲの伸びが若干甘いので、少しカミソリ負けして、ちょっぴり「赤」の状態になる。少しだけだから問題ない。翌木曜日は、火曜日と同じで少々の「青」を許容。金曜は剃って少々の「赤」を許容。という具合だ。土日はもう剃らない。

こうすることで、完全な「青」(ヒゲが伸び切った状態)でもなく、完全な「赤」(カミソリ負けして肌が赤く爛れた状態)でもない、いい感じの中間地点に到着する術を発明したわけだ。

あれ、なんの話だ。あっ、そうそう、ヒゲね。そういうわけで、家で仕事をする時は剃ったり剃らなかったりするけれど、基本的に服装はそこまでこだわりがない。

オフィスに出勤していた時には毎日スーツだったが、今は違う。そうなると、スーツを着慣れなくなってしまって、たまに結婚式とか法事とかある時に、「あれっ、こんな着心地だったっけ。なんかキツイな…」となってしまうのだ。

そして、上にも書いたが来月は友人の結婚式がある。幼稚園からの友人だ。そんな旧友の晴れの舞台の日に、なんだかやけにピチピチのスーツで出席していいはずがない。

多分、ブーケトス前の全員集合しての写真撮影とか、新郎新婦の席の前に行って「いやあ、おめでとう。久しぶりだね、最近どう?」とか雑談をしたりする時に「じゃあせっかくなんで、ご友人同士で撮りましょうか」なんてカメラマンの人に促されて一枚撮影されたりすることもあるかもしれない。

その場ではいいかもしれないが、披露宴の最後によくある「結婚式当日から最後までのシーンを集めました」みたいな動画のようなものが流されてしまった時が、問題だ。

なんかピチピチのスーツを身に纏い、カミソリ負けして赤ら顔のオッサンがムービーに写っていたら、参列者はどう思うだろうか。何よりそれが幼稚園時代から同じ時間を過ごした旧友であることを知った新郎はどうだろう。もう申し訳なさしか無い。すまん、肌が弱くて毛深くて、そしてスーツが似合わないワガママボディで…と。

そんな事態を可能な限り避けるべく、少しでもダイエットしようとして、お酒(どっちかというと、飲む時に食べるつまみ)や、脂っこい食事を控えているのだ。

さて、むちゃくちゃ脱線して長々と書いてしまったけれど、理由のもう一つ。それが健康だ。

食べるものに気を付けると、身体も引き締まるし、実際肌の調子も悪くない気がするのだ。言わば、見た目もそうだけれど、それは身体の内面からも綺麗になるような気がする。美ボディは、心も体も、そして内臓からも作られていると思うのだ。

健康、健康。それは素晴らしい。

油物は控えて、糖質も少なめに。塩分も摂りすぎないように。ご飯もおかわりはしない。できれば炭水化物よりもタンパク質を。焼肉を食べるなら、カルビよりもロースを多めに。間食もなるべくしないし、午後8時以降は食べない。そうやって食事に少し気を付けて適度な筋トレをしていたら、たしかに身体は引き締まってきた。寝つきも寝起きも悪くない。素晴らしいことだ。

だから、ミックスナッツを選ぶなら、黒胡椒スパイシーテイストではなく、当然、素煎りで。

と思っていたのだけれど、先日ドン・キホーテに行った時、なぜだかミックスナッツの売り場の前で足が止まった。「美味そう…。黒胡椒の塩味がガツンと効いたナッツ、オレ食いたい…」獲物を前に欲望を抑えきれない獣の気持ちが少し分かった。

ああ、自分は健康のためにたしかに我慢をしていたのだな。そしてそれは、自分の欲を無理やりに押さえ込んでいたのだと。

哀しきケモノは、健康という、生物が生物たり得るための生存機能を持続的に維持していくために、そして何にも代え難い生命そのもののを繋ぐために有効な状態を優先させるあまり、自身の欲望が押し潰された状態になっていたことに気付いた。

まるで、健康な美ボディを目指していたつもりが、その実際はガリガリに痩せ、生気も衰えた姿を手にしようとしていたことに気付いたのだ。

実際、食事を少なめにしたり、食べたいものを我慢したりした時、ちょっと情緒が不安定というか、つまんないことで子供に厳しく言ってしまうこともあった。それは、自分の状態として、身体は健康のためにそれが良いのだろうけれど、脳というか心としてはまだ足りないのに抑圧されてストレスを感じて不機嫌になってしまっているように感じた。言わば、心が無理をしていた。

これでは良くない。無理はやめよう。

もちろん健康は大切だが、食べたい時は食べた方がいい。ちょっと羽目を外してもいい。

誤解のないように言っておくと、素煎りのミックスナッツは美味しい。本当に旨い。豆本来の甘味や旨みが口の中で広がって、無駄な糖分や塩分の無い、自然な味わいが楽しめる。けれども、けれどもたまには、ガッツリ塩が効いたものや、ガーリックやバターなどのオイリーでヘビーな、パンチの効いたものが無性に食べたくなる時もある。毎日というわけではない。時には、そんな欲を解き放ってもいいではないか。

だから、あさりバターポテトチップスを食べ、瓶ビールを一本一人で飲むということは、ある意味、これで良いのだ。

普段ちょっと我慢している分、こういう日があってもいい。ちょっと飲みすぎて二日酔いになったり、胃もたれすごい日があってもいい。いや、無きゃ無いでそれに越したことはないが、結果的にあっても良い。

もちろん、全てにおいて石橋を叩いてミスが無いように細心の注意を払う生き方もアリだとは思う。でも時には挑戦してみたり無茶してみたり、バカなことしてみた方が、実は学べることも多いかもしれない。もしかしたら結果的に何も学ぶことは無かったとしても、実は楽しいかもしれない。心を少し解放させて、好きなことをさせてあげることも大事に思う。

自分に甘いのは重々承知。けれども、ダメな自分を愛すところから、また、明日へ歩んでいく自分へのエールにもつながっていくと思うのだ。

あれ、なんか前向きな結論になってしまった。薬のおかげで胃もたれも治ってきたっぽいので、もっかい寝よう。お休みなさい。

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