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ブラックロックの支配下にあるウクライナ

世界最大の投資会社ブラックロックが、ウクライナの戦後復興に巨額の投資を行おうとしている記事です

要約

・戦争によって荒廃させた後に、金融で国家を乗っ取る方法は、
 過去に何度も行われてきた
・国際金融資本による戦後のウクライナ再建計画は、
 昨年から動き出している
・ゼレンスキーは訪米時に、ブラックロックCEOの
 ラリー・フィンク(写真の人物)と再建協定を交わした

2023.1.9 southfront
by Piero Messina


金融とテロの間に境界線はあるのだろうか?

それはおそらく、もはや存在しない。戦争は、滅びゆく資本主義世界における最高のビジネスとなった。そして、ビジネスが本当に美味しいとき、世界で最も重要な投資運用会社であるブラックロックは決して欠かすことができない。

ウクライナでさえも彼らのものになる。ウクライナでさえもCEOのラリー・フィンクが率いる会社の、顧客ポートフォリオに入る運命にあるのだ。驚くようなことはあまりない。ルールは単純だ。国家を破壊するか、滅亡させるかして、紛争を解き放ち、それから平和の天使のような格好をして、再建に向かうのである。過去にも同じことがあった。サダム・フセイン政権後のイラクの復興のために、テキサス企業のハリバートンに託された数百億ドルを忘れた人がいるだろうか。

ロシアとウクライナの紛争はまだ続いており、おそらくまた一歩軍事的なエスカレーションが進むと思われる中、我々はすでに数ヶ月に及ぶロシアによるインフラへの爆撃で壊れた国家の、再建について考えている。

国際外交は平和を語るには限界がある。しかし、現金に置き換えるとなると非常に効率的である。こうして戦争が進行する中、すでにウクライナの再建の話が持ち上がっている。そして、彼らはこの事業を任される。


ウクライナの復興計画は、昨年7月初めのルガーノで話し合われた

スイスでの会議には41カ国と19の国際機関が参加した。最終的に、7500億ドルという巨額の資金を投入することが決まった。しかし、この蛇のような企業と投機家の世界では、誰も何も手放さない。第一の条件は、ほとんどの公営企業の民営化である。欧米のサメは、ウクライナの死体の残骸を引き裂く用意がある。キエフが反ロシア的な役割で踏み台にされるだけでは不十分で、今やウクライナ、あるいはその残骸は、分割されるべき巨大なパイと見なされているのだ。


そのパイの最も大きなスライスがブラックロックの手に渡ることになる。キエフと、フィンク率いるブラックロックとの求愛は、数ヶ月前から続いている。スイスでの会議、9月の再会に続き、すでに昨年11月に米国の名門企業がウクライナ経済省と覚書を交わしていた。

そして、ゼレンスキーはワシントンに急いだ。いつもの腐ったような緑の軍服でバイデンに会っただけでは無い。アメリカでの会談で、ゼレンスキーはラリー・フィンクに会った。会議の最後に、大統領と世界最強の経営者は、プレスリリースで紳士協定を交わした。

彼らは、「近い将来、潜在的な投資家や国の再建に参加するすべての人々の努力を調整し、ウクライナ経済の最も適切で影響力のある部門に投資を投入することに焦点を当てる」ことで合意した。

ウクライナには、官民の資金が降り注ぐことが予想さ れる。世界最大級の投資運用会社であるブラックロックは、「将来のウクライナ経済の再建と復興に、官民の投資家が参加する機会を創出することを目的として、投資の枠組み設計のためのアドバイザリーサポート」を提供した。(了)


考察

不定期な首脳会談が行われるのは、必ずと言ってよいほど、裏で重要な直接交渉を必要としているのが外交です。

今回のゼレンスキー訪米に、バイデンと会談する必要性がどれだけあったのでしょうか。すでに、バイデン政権は軍事支援だけでも総額200億ドルを越え、今回は30億7500万ドルの追加を確約しました。ここでゼレンスキーを訪米させれば、必ずマスコミは大きく取り上げるでしょう。しかしテレビで、Tシャツ男が国会議員の前で手前勝手に金をせびりに来た姿も映し出され、バイデン政権へのマイナス面も生じます。

なぜ、あえてこの時期にゼレンスキーがワシントンに出向く(出向かせる)必要があったのでしょうか。

この論説では、マスコミが重要視しない、バイデン(グローバリスト)政権が仕組んだ、別の重要な交渉を取り上げています。

以前、菅前首相が官房長官であった時期に、ワシントンに出向いたことがありました。そこで、バイデンと会談らしきもの(ハンバーガー昼食会)をしたのですが、その合間を縫って、(経済担当ではない)官房長官とアメリカの経済人(国際金融資本)とのテーブルを挟んでの会合が行われていました。実はこれが、訪米の一番の理由であったと林千勝氏は解説しています。この会合で、今後の(日本が取らされる)経済政策を打合せ、GOサインが出たことにより、安倍氏の後任総理として菅官房長官が認められたのだろうと言うことです。

ですから、今回のゼレンスキー訪米には、ブラックロックに代表される、国際金融資本との直接交渉が必須であったと見ます。この記事で述べられているように、会談の内容は、ゼレンスキーが戦後のウクライナの利権を売り飛ばすことであり、もしかすると新たなオリガルヒの指名までされているのかもしれません。

戦争を誘発し、戦後のドサクサに紛れて国家の富を収奪する手法は、過去200年以上に渡って国際金融資本の常套手段でした。(ナポレオン戦争、南北戦争、戊辰戦争、第一次・二次世界大戦、イラク、シリア、アフガニスタン....)今度も何匹目かのドジョウを狙っていることは間違いなく、ゼレンスキーの訪米では、戦争の終わらせ方を探ることではなく、彼らにとってより重要な戦後の金儲けの打ち合わせが進められたと推測します。

しかし、今回も上手く事が運ぶのでしょうか?

まず、ウクライナが分割され、ロシアが手に入れるドニエプル川東岸地域には地下資源と工業インフラが豊富なのに対し、グローバリズム勢力が手に入れるパイには荒廃した農地くらいしか残されていません。ですので、ゼレンスキーは、多くの国民が戦いで傷つき、インフラの復旧もままならない中で、莫大な借金を抱えたドニエプル川以西の残存国家(西ウクライナ)の再建を始めることになります。

そして、川向こうに住むロシアに編入された地域の住民には、住宅や教育などのインフラが再整備され、産業の復興とともに生活も保証されることになれば、それを目の当たりにした、EU諸国に脱出した数百万のウクライナ難民はどう感じるでしょうか。はたして、どれだけ人々が西ウクライナに戻ってくるでしょうか。

そんな国家が莫大な借金を返済できるはずがありません。そうなると戦後の西ウクライナは、国際金融資本にとって巨大な不良債権にしかなり得ません。

(ここまで来てまだ、ゼレンスキーが東部ウクライナを奪還し元の領土を回復できると、ブラックロックは考えているのでしょうか?それとも、今回も勝っても負けても「両建て」による金儲けを企んでいるのでしょうか?)

あるいは、ゼレンスキー政権が倒され、その後に成立した(親ロ)西ウクライナ政権が債務の支払を拒否したらどうなるでしょう。その場合に予想されるグローバリズム勢力の対応は、渡航制限を課し、貿易を規制し、融資を止めることです。(ヒト・モノ・カネ)

こうなれば、西ウクライナは国家として立ち行かなくなるでしょう。過去の例では、それでも言うことを聞かない政権に対して、クーデターやテロ(暗殺?)を企て、彼らの言いなりになる傀儡政権に首を挿げ替えることもやってきました。そうやって、最終的に資源や労働力を支配し、投資を回収してきたのです。

私は、(今回に限り)今までの手法が上手くゆかない気がします。それは、プーチンとトランプの存在です。

西ウクライナが国内の西側と結びついた勢力を一掃し、(ベラルーシやカザフスタンのように)経済も安全保障もロシア側に組み込まれれば、グローバリズム勢力の圧力に対抗できる可能性があります。またトランプの復帰があれば、軍事力を行使するネオコンの弱体化が積極的に進められ、圧力を掛け難くなくなると見ています。
(大技として、生物兵器研究所・ネオナチ支援などの悪事の秘密保持と債務免除との取引も考えられます。それをプーチンが許すとは思えませんが)

もしトランプが、バイデン政権の経済政策の失敗をあえて放置し、アメリカ政府の財政破綻による極端なドル暴落が起これば、西ウクライナのドル建て債務はそれに比例して実質的に減少します。その時に強い通貨(ルーブル、人民元、もしかしたらトランプドル?)による支援は、大きな役割を果たすことができるでしょう。

(ドル暴落は債権国の日本にとっては大打撃になりますが、ウクライナに限らず世界の債務国にとっては、ある意味朗報です。)

私は、西ウクライナに暮らす人々がどんな未来を望むかについて、口出しできる立場にはいません。ただ、グローバリストの植民地になることは避けてほしいと思っています。


おまけ1

昨年からの金融市場における、ハイテク株の低迷、利上げによる債券価格の下落、暗号通貨の不祥事などで、確実に投資家は資金繰りに困ってきています。次に売り出すのは、流動性が低く、価格がピークに達した不動産関連商品になりそうです。

ですから、世界最大の投資運用会社のブラックロックであっても、投資家の投売りによる暴落を止めるために必死になっています。

おまけ2

ゴールドマン・サックスセールフォースに続き、ブラックロックもニューヨークの社員を500人リストラだそうです。