見出し画像

それ以上でも、それ以下でもない

「わたしは、ダニエル・ブレイク(原題:I, Daniel Blake)」を観ていました。

淡々としているのですけど、観ていて怒りに打ち震えます。

病でお医者さんから仕事を止められてしまい、働きたいのに働けない。致し方なく国の援助を受けようとしますが、様々な制度や複雑で且つ煩雑な手続き、厳しい諸条件、主人公ダニエルを追い詰めていきます。病で働けないダニエルだけではなくて、シングルマザーで二人の子供を持つケイティもまた、同じように国の援助を受けようとして諸規則に阻まれ、援助を受けることができません。

国は困っている人を助ける、援助する、救うための機構が助けるのではなくて、徹底的に尊厳を傷つけ、色んなことを奪い去っていくように働きかけているようにしか思えませんでした。

イギリスのお話しですが日本でも同じようなことがあり、他人ごとではありません。正直に、真っ当に、困っている人がいたら自然と何とか手を差し伸べることができる、そんな広い心をもった優しい人々が何も悪いことをしていないのに罰せられて、ちょっとできないことがあると見下されて、理由があってどうしてもできなかったことを規則を盾にして一切許さない不寛容。

私はどうしても納得できなかったし、許せないし、ダニエルとケイティが追い詰められていくことがとても辛くて。

少し救われたのはダニエルやケイティ、ケイティの子供たちに対して、心優しい人々は少なからずいたこと。観ていて本当にとても辛かったのですが、観ることができて、知ることができて、よかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?