2024年サマソニ備忘録
はじめに
8月末から9月頭という非常に短い期間の間、oasisは再結成し、Linkin Parkは新ボーカルを迎えて再始動し、BIGBANGは3人とはいえ7年以上の月日を超えて同じステージに立つという衝撃的なニュースが駆け巡った。おかげさまで僕の情緒はめちゃくちゃなわけだが、まずは今年のサマソニを振り返らなければならない。サマソニは夏の始まりであり、終わりだからだ。
◯1日目
・RIIZE
今年はRIIZEからスタート!
1曲目は聞きたかった”Impossible”。メンバーがステージに登場して「Gimme That Beat」と聞こえた瞬間、ブチ上がった。
途中ショウタロウのマイクが入らなくなるトラブルがあり、もう少しMC少なめにしてタイトにした方が良かったかもしれない。
それにしてもショウタロウはダンス上手すぎた…。
後ろにいた韓国人の女の子が「サラハンダー!!」と叫んでいて良かったし、隣の男の子は掛け声も完璧で素晴らしかった。
・お昼ご飯
イ・ヨンジが台風の影響でキャンセルになり、時間が結構空いてしまったのでユッチャン冷麺に並ぶ。長蛇の列だったが店員さんは最後尾しか管理しないので、整列順がぐちゃぐちゃになって余計に並ばされた。味は普通でお肉はめちゃくちゃ硬い。1450円。
復活したお笑いステージでくまだまさし、いぬ、ウエスPのネタを見てリフレッシュ。
・Stephen Sanchez
ナッシュビルからの刺客。”Until I Found You”くらいしか知らない状態で挑んだが、プレスリー印のロックンロールを感じる楽曲が多数あり、痺れた。ウェルメイドなライブだった。
・Madison Beer
マリンでOne Republicを見るか相当迷ったが、メッセに引きこもることを選択。初来日公演となるMadison Beerは、ダークさを纏ったミドルテンポなポップで、楽器隊がドラムとキーボードの二人体制で忙しそうだった。
・Laufey
ダッシュでソニックへ移動。Madison Beerとは一転、Laufeyのライブはジャズをベースとしつつもボサノバテイストな曲があったりして、ゆったりと心地よい時間が流れていた。とは言いつつ、終盤に配置された”Goddess”ではシンプルなピアノの弾き語りから始まり、エモーションが爆発するラストへと突き進んでいく過程が美しく、幻想的なライティングも相まって、神々しさすら感じた。このタイミングでライブを見ることができて本当に良かった。
・Nothing But Thieves
とても楽しみにしていたNBT。これまで何度か来日公演は行われているが、タイミングが合わず行けなかったので、今回ようやく見ることができた。
会場が暗くなり、バンド名がスクリーンに表示されると、”Oh No :: He Said What?”からスタート。コナーのハイトーンボイスがマウンテンステージに響き渡る。4thアルバムでThe Weeknd的なシンセサウンドを盛り込んで新たな境地に足を踏み入れたNBTだが、これまでの楽曲ともシームレスに接続されてとにかくアグレッシブで盛り上がるライブだった。東京は機材トラブルで大阪に比べて1曲少ないセットリストになってしまったが、また単独公演も見たい。
・Bleachers
NBT終わりにダッシュでソニックへ移動。FUN.の頃から現在までジャック・アントノフにピンときていないでお馴染みの僕なのですが、なんとなくで見に行ったらそれはもうとんでもなく素晴らしいライブでした。
毎秒幸福感に溢れ、祝祭のような時間だった。というかダブルドラムだなんて知らなかったよ!
到着したタイミング的に、好きな”Modern Girl”が聴けなかったのだけは心残りなので、今度は単独公演をして欲しい。
・AKMU
今度はパシフィックステージまでダッシュで移動。ラスト1曲滑り込みで聞くことができたのだが、それがなんと!あいみょんの”君はロックを聴かない”のカバーで会場も湧いていた。スヒョン氏のみ歌い、チャンヒョク氏はギターに専念していた。
・夜ご飯
時間が無さすぎて諦めていたのだが、パシフィックのすぐ横で餃子フェスのブロックがあり、宇都宮餃子をすかさず購入。マウンテンのGLAYをチラ見しながら胃に流し込む。にんにくたっぷりで美味しかった。
GLAYは全く通ってきていない人生なので、食べている間に聞いた曲は知らなかったが、TERUはめちゃくちゃ声が出ていて(最早出すぎている領域)、流石のレジェンド感。曲の頭でモニターにその曲名が、演奏中は歌詞がサイドモニターに絶妙なフォントで表示されていてちょっと面白かった。
・Maneskin
マリンに移動、ついにManeskin。2022年にサマソニへ初出演し、余りのライブの良さに衝撃を与えた彼らはその勢いのまま2023年に最新アルバム"RUSH!"を携えてジャパンツアー、そして今年ヘッドライナーとしてサマソニに戻ってきた。基本的な流れは2023年のツアー内容を短縮したものになるが、演奏はよりタイトになり、筋肉質なライブとなっていた。昨年はダミアーノの声が不調で声を出しづらそうな場面もあったのだが、今回は絶好調!(暑さにはかなり苦しめられていそうだった)
この日僕が見たアーティストは機材トラブルが割と発生しており、予定時刻を若干押してライブが始まる事が多かったのだが、マネスキンはまさかの前倒しスタート!まずはギターのトーマスがステージに登場し、"DON’T WANNA SLEEP"のリフを相変わらずの轟音で奏で始める。その後イーサン、ヴィクトリアの順でドラム、ベースとアンサンブルが形作られていき、口髭を生やしたダミアーノが現れ4人が揃うと一気にオーディエンスのボルテージが上がった。そこからシームレスに"GOSSIP"、"ZITTI E BUONI"と続く。そしてハイライトとなる"HONEY(ARE U COMING?)"や"GASOLINE"から”KOOL KID”までテンションMAXで駆け抜けた。アンコールはトーマスの長尺ギターソロから始まり、そのまま”THE LONELIEST”、そしてダメ押しの”I WANNA BE YOUR SLAVE”のおかわりで終了。23〜25歳のバンドとは思えないヘッドライナーの風格を纏いつつも、8、9年前にローマで路上ライブをしていた頃と地続きのパフォーマンスでマリンスタジアムを満員にしたマネスキンは紛れもなくロックのニュースターなのであった。
◯2日目
・BOYNEXTDOOR
思っていたよりも前の方で見たのだが、とにかく掛け声が凄くてペンたちの熱量を感じた。正直なところ全く詳しく無かったものの、メンバー皆盛り上げ上手で、一旦終了と見せかけてプチアンコールまである充実したライブだった。
・お昼ご飯
とりあえず唐揚げ丼を食べる。フェスのような体力を消耗する環境では、これくらいのカロリー爆弾が丁度よいのかもしれない。白米の上にキャロットラペが乗っていたが、これは流石に合わなかった。
・Olivia Dean
イギリスからの新星。ネオソウルの爽やかなサウンドと伸びやかな歌声で、普段は熱がこもって暑いソニックステージに涼風が吹くかのようだった。とにかく気持ちが良いライブで、再来日求む。
・BABYMONSTER
YG期待の大型新人ガールズグループ。イントロの”MONSTERS”から凶悪な低音で幕を開け、”SHEESH”で完全にノックアウトされた。アヒョンの高音パートを今か今かと待ち受けオーディエンス、その期待を200%で返すアヒョン…流石である。デビューシングルの"BETTER UP"や最新シングル”FOREVER”と続く。ライブ後半は前半で披露した曲のリミックスで畳み掛けるというYG節も感じられて、ファンではない人でも盛り上がるクラブバンガーなライブで最高でした。
・Tyla
今年のサマソニ大本命と言っても過言ではないTyla。アマピアノの新星は全身にスターオーラを纏っており、ステージ中央には巨大なトラが鎮座するなど、マウンテンが完全に南アフリカと化していた。『ブラックパンサー3』の企画が動いているのか現状不明だが、マーベルスタジオはきっとサントラにTylaを起用することでしょう。タイムテーブルの問題で、大ヒット曲の”Water”を聴けなかったのが心残りなので再来日してください。
・IVE(1曲だけ)
泣く泣くTylaを切り上げてパシフィックステージへダッシュするが、同じ方向に歩いている人が大量にいる。嫌な予感は的中し、すでにステージから人が溢れていた。ライブが始まってもどんどん人は増えていき、身の危険を感じたので離脱した。東京ドーム2DAYSを控えていることを考えれば、人で溢れるのは自明だが、クリエイティブマン的にはあえてパシフィックに配置したのだろうと推察する。とりあえず”HEYA”は聴けたのでOKです。アンユジン最高でした。
・Bring Me The Horizon
IVEの大混雑もあり、4曲目の”MANTRA”を演奏中にマリンへ到着。
プレステを模したグラフィックデザインや、AIのE.V.Eとの会話で進行していく演出など、昨年のNEX_FESTを基本としながら、最新アルバムである”POST HUMAN :NeX GEn”のエッセンスを効かせたライブだった。
"liMOusIne"ではオーロラがステージに登場し、世界初パフォーマンスを行い(しかもオーロラは登場15分後にはソニックで自身のライブを控えていた)、”Kingslayer”では昨年同様BABYMETALが場を盛り上げる。(共に東京のみの演出だったので、大阪の人はつらかったと思う)
「なぜこれほどまで日本で人気なのかわからないけど、とにかくありがとう」というようなMCをオリーがしていたが、彼の繊細で時に悲痛とも言えるボーカルとヘヴィなサウンドが響き渡り、エモーショナルなライブだった。特にアンコール前で彼らのキャリアを振り返るビデオが流れたのだが、今は亡きチェスターの姿が映った瞬間、込み上げるものがあった。堂々のヘッドライナーであった。あっぱれ!次回の来日では"n/A"を必ず演奏してください。
◯雑感
・今年は基本的に日中を幕張メッセ内で、陽が沈んだ後はマリンスタジアムで過ごすスケジュールだったので、昨年のニュージーンズのように地獄を見ることはなく快適だった。(毎度のことだが、ソニックステージは構造のせいなのかめちゃくちゃ熱がこもっている気がする)
・昨年、会場で水が売り切れていたとかいうデマを流されていたサマソニだが(少なくとも僕の観測範囲では一度たりとも飲料が売り切れている場所は無かった)、今年は給水所を数ヶ所設置していた。実際見てみると、給水所というより手洗い場のような感じだった。
・毎度のことではあるのだが、二日券のリストバンド交換を幕張メッセ側でもできるようにして欲しい。今年もリストバンド交換のためだけに一度マリンスタジアムまで歩いてまた幕張メッセに戻るという無駄なムーブを強いられた。
・電波はよく繋がった。サマソニ開催前に南海トラフ地震臨時情報が流れたことも影響しているのか不明だが、毎年これくらいの環境を整えて頂けるとありがたい。
・今年は客入りが少ないという何のためにしているのかよくわからないツイートをいくつか目撃したが、個人的にはそこまでか?という印象。それが電波改善の原因なのかも不明。
客入りが少ないのは、お目当てのアイドルを見てすぐ帰る人がいるからだ、という主張をする人もいるが、そもそも海外アーティストの動員力自体が下がっていることを直視しなければならないのではないか。この話題は長くなるので割愛する。
・タイムテーブル変更は非常に遺憾だった。キャンセルになってしまったアクトの補填をしてもらえるのは非常に嬉しいが、順番も持ち時間も変更されてしまったせいで、事前に組んでいた予定が崩壊してしまった。
・お笑いステージ復活は純粋に嬉しかった。
・ステージレイアウトの部分は、幕張メッセ内の各ステージ後方にあった巨大な櫓が解体され、天井から各ステージのオブジェが吊るされる形に変更。かなりスッキリした印象で良かった。
・今年も花火は二日間打ち上げられた。昨年Blurの日に打ち上がらなかったのは何故だったのだろう。
・夏フェスのプロ御用達、アミノバイタルを今年は用意したからか、体力はあまり削られなかった。(単純に今年から始めたジム通いの影響かもしれない) 来年も継続予定。
長々と書いたが、今年も素晴らしいライブを沢山見ることができた。すっかり洋楽を聴く人が少なくなったことに加えて円安という逆風も吹き荒れる中、これだけ新進気鋭の海外アクトをブッキングしてくれたクリエイティブマンは素晴らしい。フェスの一番の醍醐味は、予期せぬアーティストとの出会いであり、少し歩いた先に魅力的な世界が待っている環境を参加者も全力で楽しめれば平和な世界が訪れるだろう。
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