経営学

経営学とは、経営に関する学問で、企業や組織の内外の環境において、どのように効率的に運営するかを解明することを目的としています。

分類

経営学は、さまざまな分野に分かれており、一般的には以下の4つの分類があります。

ファイナンス

企業の外側とのお金のやりとりについて考える分野。銀行からお金を借りたり、株主に出資してもらったりする方法や、そのリターンやリスクを評価する方法などを学びます。

アカウンティング

企業の内側でのお金の動きを計測し記録し報告する分野。服を製造したらいくらかかったのか費用を計算し、お客さんに服が売れたらその売上を記録し、いくら売れて、いくら儲かったのかをいろんな人に報告する方法や、税金の計算などを学びます。

マネジメント

企業の内側でお金以外の資源(人や物など)をどのように動かすべきかを考える分野。従業員がやる気を出して働きやすい環境を整える方法や、適材適所を考える方法や、物を効率的につくる方法などを学びます。

マーケティング

企業の外側にいる消費者がどんな物を欲しいと思っているのか、あるいはある物やサービスを提案したらどのような反応が返ってくるだろうかということを考える分野。消費者のニーズや行動を調査する方法や、商品やサービスの価格や品質や宣伝などを決める方法などを学びます。

歴史

経営学の歴史は、さまざまな国や地域で異なる発展を遂げてきましたが、ここではドイツとアメリカの経営学の歴史について簡単に紹介します。

ドイツの経営学

経営経済学(Betriebswirtschaftslehre)と呼ばれ、企業や組織の内部での価値創造や資源配分に関する問題を扱います。ドイツの経営学は、以下のような時代区分に分けられます。

- 取引・計算技術の指導を中心とした発生の初期(17世紀まで)
- 商業技術の体系化の時代(19世紀まで)
- 商業学の衰退期(19世紀)
- 記述的商業技術の建設の時代(20世紀初期)
- 理論的経営経済学の体系とその普及の時代(1911年以降)

ドイツの経営学は、さらに理論学派と技術学派に分かれており、前者は現実態がどのように関係し合い、どのような仕組みで運営されているかを明らかにする科学的なアプローチをとります。後者は目的と手段の事実関係について論理的な研究を行い、経営技術の客観性や合理性を立証しようとします。

アメリカの経営学

ビジネス・アドミニストレーション(Business Administration)と呼ばれ、企業や組織の外部での市場や競争に関する問題を扱います。アメリカの経営学は、以下のような時代区分に分けられます。

- 科学的管理法(Scientific Management)の提唱(1900年頃)
- ビジネススクール(Business School)の創設(1908年以降)
- 人間関係運動(Human Relations Movement)の展開(1930年代以降)
- 経営科学(Management Science)や行動科学(Behavioral Science)の発展(1950年代以降)
- 経営戦略論(Strategic Management)や環境管理論(Environmental Management)など新しい領域の出現(1970年代以降)

アメリカの経営学は、科学的管理法から始まり、生産性や効率性を追求する技術的な側面が強調されました。しかし、第二次世界大戦後、人間や社会や環境など多様な要因を考慮する必要性が高まり、より包括的で柔軟なアプローチが求められるようになりました。

主な研究者

マイケル・ポーター

ハーバード大学経営大学院教授。企業戦略や国際競争など、競争戦略に関する研究の第一人者として知られる。ファイブフォース分析やバリュー・チェーンなどの競争戦略手法を提唱した。

フィリップ・コトラー

ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン特別教授。マーケティング論の権威として知られる²。STP理論やマーケティングの6P・7P理論などを提唱した。

ピーター・ドラッカー

オーストリア出身の経営思想家。経営学の父とも呼ばれる。経営の目的や社会的責任、イノベーションや知識社会などに関する著作が多い。

クレイトン・クリステンセン

ハーバード大学経営大学院教授。イノベーションの分野で世界的な権威として知られる。破壊的イノベーションという概念を提唱した。

ジェフリー・フェファー

スタンフォード大学経営大学院教授。組織論や人的資源管理の分野で有名。パワーと影響力に関する著作が多い。

参考文献

さらに詳しく知りたい人は、以下のような本がおすすめです。

ど素人でもわかる経営学の本』(‎中川功一)

タイトルの通り経営学を初めて学ぶ人に向けて執筆された一冊です。実在の企業をもとにすぐに使える知識を紹介しています。

-『マネジメント[エッセンシャル版]― 基本と原則』(ピーター・F・ドラッカー)

ドラッカーが自らのマネジメント論を体系化した大著「マネジメント」のエッセンスを抽出して整理した本格的な一冊です。ドラッカーは、「現代社会の父」と呼ばれるほど経営学に多大な影響を与えた思想家です。この本を通読できれば、きっと経営学について深く知ることができるでしょう。

-『なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則』(日経BP)

近年経営破綻した23社を徹底的に取材し、その失敗の原因を探る一冊です。成功はアート、失敗はサイエンスという観点から、失敗から学ぶことが重要であることを示しています。

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