バロック期の芸術家

バロック期とは、17世紀から18世紀にかけてのヨーロッパで展開された芸術様式です。バロックという言葉は「ゆがんだ真珠」を意味し、当初はルネサンスの均衡や調和に対する否定的な表現でした。しかし、後には豪華で華麗な芸術を指す言葉として定着しました。バロック期の代表的な芸術家を、建築、絵画、彫刻の分野に分けて紹介します。

建築家

  • フランチェスコ・ボッロミーニ(Francesco Borromini)
    イタリアの建築家で、バロック建築の代表的な人物です。サン・ピエトロ大聖堂のファサードやサンタンドレア・アル・クイリナーレ教会などの作品があります。

  • ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)
    イタリアの彫刻家であり建築家でもあります。バロック彫刻の巨匠として知られ、サン・ピエトロ広場のコロナードや四大河の噴水などの作品があります。

  • クリストファー・レン(Christopher Wren)
    イングランドの建築家で、ロンドン大火後に多くの教会や公共建築を設計しました。セント・ポール大聖堂やグリニッジ天文台などの作品があります。

画家

  • カラヴァッジョ(Caravaggio)
    イタリアの画家で、バロック絵画の先駆者とされます。強烈なキアロスクーロ(明暗法)と写実的な人物表現が特徴で、聖マタイの召命やキリスト降架などの作品があります。

  • ディエゴ・リベラ(Diego Rivera)
    スペイン出身でイタリアで活躍した画家です。カラヴァッジョの影響を受けており、激しい感情や苦痛を描いた作品が多いです。プロメテウスや聖パウロの割礼などの作品があります。

  • エル・グレコ(El Greco)
    ギリシャ出身でスペインで活躍した画家です。マニエリスムとバロックの橋渡し的な存在とされます。細長い人物や不自然な色彩が特徴で、埋葬される伯爵オルガスや聖母被昇天などの作品があります。

  • ディエゴ・ベラスケス(Diego Velázquez)
    スペイン王室に仕えた宮廷画家です。肖像画や歴史画を得意とし、写実的で繊細な筆致が評価されます。ラス・メニーナスや降伏したブレダなどの作品があります。

  • バルトロメ・エステバン・ムリーリョ(Bartolomé Esteban Murillo)
    スペインの画家で、ベラスケスと並んで17世紀スペイン絵画を代表する人物です。宗教画や風俗画を描き、柔らかく温かみのある色彩が特徴です。無原罪懐胎や乞食少年たちなどの作品があります。

  • ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)
    フランドル(現在のベルギー)出身でヨーロッパ各地で活躍した画家です。ダイナミックな動きや鮮やかな色彩、官能的な表現が特徴で、キリスト昇架やメディチ家の歴史などの作品があります。

彫刻家

  • ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)
    前述の通り、バロック彫刻の巨匠です。彫刻だけでなく、建築や絵画にも優れていました。ダビデ像や聖テレサの法悦などの作品があります。

  • ジャンボローニャ(Giambologna)
    フランドル出身でイタリアで活躍した彫刻家です。ミケランジェロの影響を受けており、優美で流麗な作風が特徴です。水神ネプチューン像や水辺のヴィーナスなどの作品があります。

  • アレッサンドロ・アルガルディ(Alessandro Algardi)
    イタリアの彫刻家で、ベルニーニと競争関係にあったと言われます。バロック彫刻の特徴である動きや感情を表現した作品が多いです。聖ペトロ広場の聖ペトロ像やサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会の聖イグナチオ・デ・ロヨラ像などの作品があります。

以上がバロック期の代表的な芸術家の一部です。他にも多くの優れた芸術家が活躍しました。詳しくは、以下の本を参考にしてください。

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