小説「君たちはどう生きるか」(要約)

「君たちはどう生きるか」は、吉野源三郎という児童文学者が書いた小説です。

この小説では、旧制中学二年生のコペル君という主人公が、学校や家庭でさまざまな出来事を経験しながら、自分の生き方を考えていきます。各章のあとには、コペル君の叔父さんが書いたノートという形で、社会や人生についての教養的な話が語られます。

「君たちはどう生きるか」は以下の10章からなっています。

  1. へんな経験

  2. 勇ましき友

  3. ニュートンの林檎と粉ミルク

  4. 貧しき友

  5. ナポレオンと四人の少年

  6. 雪の日の出来事

  7. 石段の思い出

  8. 凱旋

  9. 水仙の芽とガンダーラの仏像

  10. 春の朝

各章のあらすじ

1. へんな経験

コペル君は、デパートの屋上から銀座の街を見下ろし、人間は分子のようだと感じる。そのとき、叔父さんからコペルニクスの話を聞き、自分の見方が変わるきっかけになる。

2. 勇ましき友

コペル君は、クラスでいじめられている友達のハンスを助けると約束するが、いざとなると見て見ぬふりをしてしまう。その後、ハンスがいじめに耐えて勉強に励んでいることを知り、自分の弱さを恥じる。

3. ニュートンの林檎と粉ミルク

コペル君は、ニュートンが万有引力の法則を発見した話を聞き、自分も何か発見したいと思う。そこで、オーストラリア産の粉ミルクの缶詰に目をつけ、世界中に広がる生産関係に気づく。

4. 貧しき友

コペル君は、貧乏な家庭で家業を手伝っている友達のタケシに会いに行く。タケシは学校に行けないことを悔やんでおり、コペル君は自分の恵まれた環境に感謝する。叔父さんは、貧富によって人間の価値を判断しないことを教える。

5. ナポレオンと四人の少年

コペル君は、ナポレオンが偉大な人物だったかどうかを考える。叔父さんは、ナポレオンが人類の進歩に役立った時期とそうでなかった時期があったことを説明し、偉大な人物とは人類の進歩に貢献した人だと教える。

6. 雪の日の出来事

コペル君は、雪が降った日に学校で雪合戦をする。しかし、雪玉に石を入れて投げたり、敵チームの雪だるまを壊したりする不正行為が起こる。コペル君は、自分も不正行為に加担してしまったことを反省し、正義感や道徳心について考える。

7. 石段の思い出

コペル君は、学校で行われた運動会で優勝する。しかし、その日は父親の命日でもあり、母親やばあやと一緒に墓参りに行く。そこで、父親が生前に言っていた「人間らしく生きる」という言葉の意味を問われる。

8. 凱旋

コペル君は、運動会で優勝したことでクラスメートから祝福される。しかし、その中には自分が裏切ったハンスもいた。コペル君はハンスに謝ろうとするが言葉が出ない。その夜、叔父さんから人間の苦しみや偉大さについての手紙をもらう。

9. 水仙の芽とガンダーラの仏像

コペル君は、春になって水仙の芽が出てきたことを喜ぶ。叔父さんは、水仙の芽が自分の生命力を発揮していることを教え、コペル君も自分の生命力を発揮するように促す。また、ガンダーラの仏像の話をして、人間の美しさや尊厳について語る。

10. 春の朝

コペル君は、叔父さんからもらったノートに自分の将来の生き方について書く。コペル君は、自分で考えて行動し、人類の進歩に貢献し、人間らしく生きることを決意する。そして、読者にも「君たちはどう生きるか」という問いかけをする。

以上が「君たちはどう生きるか」の各章のあらすじです。

この小説は、1937年に出版されましたが、戦後にも多くの人々に読まれてきました。2017年には、羽賀翔一という漫画家が漫画化した『漫画君たちはどう生きるか』が出版されて大ヒットしました。また、宮崎駿というアニメーション監督が、この小説からタイトルを取って新作映画『君たちはどう生きるか』を制作しており、2023年7月14日に公開されました

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