【時事解説】円安加速1ドル=150円台3カ月ぶり

内容

2月13日のニューヨーク外国為替市場で、対ドルの円相場は一時、1ドル=150円台に下落しました。これは昨年11月以来、約3か月ぶりの円安水準となります。

背景

米国の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で3.1%と高止まりし、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの見方が広がりました。また、日本銀行(BOJ)がマイナス金利の解除後も低金利政策を続けるとの見方もあり、日米金利差が拡大した状態が続くとの見方もありました。これらの要因が円売り・ドル買いを促しました。

  • 消費者物価指数とは、全国の世帯が購入する財やサービスの価格の平均的な変動を測定する統計です。総務省統計局が毎月作成しており、結果は各種経済施策や年金の改定などに利用されています。

  • 米連邦準備制度理事会とは、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度(FRS)の最高意思決定機関です。英語表記のFederal Reserve Boardの略でFRBとも呼ばれます。7人の理事から構成され、金融政策の策定と実施を任務としています。FRBの動向は世界経済に大きな影響を与えるため、注目されています。

  • マイナス金利とは、民間の金融機関が中央銀行に預けている預金金利をマイナスにすることです。金利のマイナス化により、預金者が金利を支払うことになります。日本では2016年1月に日銀がマイナス金利政策を導入しました。日銀はマイナス金利政策によって、金融機関が日銀に資金を預けたままにしておくと金利を支払わなければならなくすることで、金融機関が企業への貸し出しや投資に資金を回すように促し、経済活性化とデフレ脱却を目指しています。

影響

円安は、輸出企業の収益を押し上げる効果がありますが、輸入品の価格を上昇させることで、国内のインフレ圧力を高める可能性もあります。また、円安は、海外旅行や留学などの海外支出を増やす人にとっては不利になりますが、外国人観光客や投資家などの海外からの収入を増やす人にとっては有利になります。さらに、円安は、国際的な信用や影響力を減らすことで、日本の外交や安全保障にも影響を与える可能性があります。


コメントにてご質問を頂いたので、お答えいたします。

恣意的円高操作とは、通貨当局が為替市場で円を買ってドルを売ることで、円相場を人為的に高めることです。これは、為替介入の一種で、正式には「外国為替平衡操作」といいます。

恣意的円高操作は、理論上は可能ですが、実際には非常に困難で危険な行為です。なぜなら、恣意的円高操作を行うと、以下のような悪影響が生じる可能性が高いからです。

  • 輸出産業の競争力低下:円高になると、日本製品の海外での価格が高くなり、輸出が減少します。これは、日本経済にとって大きな打撃となります。

  • 国際的な非難の対象となる:恣意的円高操作は、他国の通貨に対する不公平な競争とみなされる可能性があります。特に、アメリカは日本の為替政策に対して厳しい目を向けており、貿易摩擦や制裁措置の引き金となる恐れがあります。

  • 為替市場の混乱を招く:恣意的円高操作は、為替市場の参加者の心理に影響を与える可能性があります。円高が続くと、円買いの投機的な動きが加速し、円相場がさらに急騰することもあり得ます。逆に、円高が一時的なものと判断されると、円売りの反動が起こり、円相場が急落することもあり得ます。

以上のように、恣意的円高操作は、日本経済や国際関係に大きな損害を与える可能性があります。そのため、日本政府は、通常は円高を防ぐための「ドル買い・円売り介入」を行うことが多く、恣意的円高操作を行うことはほとんどありません。

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