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税法上の扶養の話

所得額から控除できるものには、社会保険や生命保険料といった物的控除のほかに、配偶者(夫または妻)控除や扶養(自分の子供、親など)控除といった人的控除があります。なお、扶養対象者は所得額が一定の金額を下回っていないといけません。38万円以下が1つのラインになります。

扶養にできるのは1人だけ!

夫(サラリーマン)・妻(専業主婦)・子供(学生)の3人家族の場合、妻と子供には収入がないため夫は妻と子供を扶養にとることができます。

それでは共働きの場合はどうでしょう?納税義務者であれば夫でも妻でも子供を扶養に撮ることは可能です。しかし、子供1人を夫婦2人で扶養にすることはできません。家族間で扶養について相談してから勤務先へ年末調整(扶養控除等申告書の提出)をする必要があります。

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~扶養に関するトラブル~

①扶養にとろうと思っていた親族の所得が多かった

これは私も経験があります。父親を税法上の扶養にとるため勤務先で年末調整の手続きを行っているのですが、翌年に父親が確定申告をしたところ、所得が38万円を超えてしまった(原稿の記事をいつもより多く書いていたらしく所得が高くなっていた)ことが判明しました。そのため、私自身が「父親を扶養控除から外す」確定申告を行いました。もちろん、年末調整時に決められた所得税額よりも高くなったので、追加で所得税を支払いました泣

この事例は子供が親を扶養にとる場合のみではありません。(レアケースではありますが)私が税の部署にいた際に「自分の子供(大学生)がアルバイトでお金を稼ぎすぎてしまい扶養できなくなった」というケースがありました。「調査で判明→扶養を外し税額が増額→本人激怒の電話→理由を説明→本人驚愕」な対応でした。

②扶養が重複したまま・・・

例えば共働きの夫婦が子供を扶養にとりたい場合。自身の税金を少なくしたいため子供を扶養にすることを互いに譲らず、話し合っても平行線となってしまうとき。その場合には所得税法に則って解決するしかありません。(法の文章はお堅いので簡単に言うと)早い者勝ちです。勤務先から提出された申告書の日付の早いほうです。ただし、どちらが早かったか不明であるときは、所得の大きい方が優先されます。

ちなみに夫が自分の妻を扶養にする(配偶者控除)場合と、子供が母親を扶養にする(扶養控除)場合が重複したときは、配偶者控除が優先されることとなっています。

③家族内トラブルは持ち込まないで・・・

私が税の部署にいて申告を受付していた時に出会った1人のおじさんの話。毎年妻を扶養にとっているので所得税(および住民税)が0円でしたが、子供が扶養にとりたいと言いだしたそう。試算すれば子供が扶養にとったほうが家族全体でみれば節税になりました。しかし、おじさん自身は税額が発生、子供からは何の恩赦もない。これは面白くないというおじさんからの愚痴。帰り際に「来年は俺が扶養にとってやる!」と決心して出ていきました。そして1年後に偶然にも再会。おじさんからの一言「今年も(子供に)負けた、、、確定申告で妻を扶養から外してください(悲)」。頑張れおじさん!笑 てかここは愚痴を聞く場所じゃありませんよ!笑

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※トラブルに巻き込まれないためには

まず誰が誰を扶養にとるかを家族内で話し合いましょう。そしてそれが不可だった場合は、確定申告で修正しましょう。しかし、一度確定申告をしてしまった後に扶養の追加をするのはアウトです。いろいろ複雑なのできちんと調べてから行いましょう!

<参考URL(国税庁)>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1181.htm

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