見出し画像

サブプロットとは何なのか

以前の記事でhttps://note.com/furaidopoteto/n/ne7455f9aae6e 
メインプロットとサブプロットに関して書きましたが、
あれから少し考えが深まりましたので、
追記したいと思います。

技術論的なことではなく、
何をもってメインとサブとしているのか、
といった定義付けの話になります。




前回も書いたように、
メインプロットとサブプロットとは、
事件と問題のことです。

たとえば、
「英国王のスピーチ」のストーリーは、
吃音症の主人公がスピーチを成功させる、
というものですが、

このストーリーを分解すると、
主人公がスピーチを成功させる(吃音症である必要はない)、
がストーリー上の事件、
つまりメインプロットで、
主人公が吃音症を乗り越える、
が主人公の内なる問題、
つまりサブプロット、
となります。

サブプロットには、
主人公の内なる問題の他、
パートナーとの関係性も含まれ、

「英国王のスピーチ」でいえば、
主人公とスピーチ講師との交流が、
サブプロットに該当します。

ストーリーの骨組みであるプロットは、
このように、
事件がメインで、
問題と人間関係がサブ、
という図式で説明されるのですが、

ただ、
「英国王のスピーチ」を見ると、
問題と人間関係に重きが置かれており、
スピーチの成功(事件)がメインで、
吃音症の克服(問題)がサブ、
には思えないため、

前回記事では、
事件と問題は、
メインとサブの関係ではなく、
(たとえば焼きそばパンのように、)
メイン同士のマリアージュの関係なのでは、
と書きました。

では、
なぜ事件をメインプロットと呼ぶのだろう、
と考えたとき、

メインプロットとサブプロットが、
映画発の言葉だからだと思います。
(おそらくハリウッド式三幕構成の用語として生まれた)

映画の場合、
内面を描くのに向かない表現媒体であることもあり、
ボリュームや構成的に、
事件がメインで、
問題がサブの形をとったストーリーが多く、
そのため、
事件をメインプロットと、
名付けたのだろうと予想します。

もし小説発祥の用語なら、
小説の場合、
ストーリー性が必ずしも重視されず、
また、
地の文で独白と心理描写も書けるため、
メインプロットとサブプロットが逆転し、
主人公の内なる問題をメインプロット、
ストーリー上の事件をサブプロット、
と呼ばれるような気がします。

映画においても、
先述した「英国王のスピーチ」のほか、
「普通の人々」、「心が叫びたがってるんだ」といったトラウマ系のストーリーは、
メインプロットより、
サブプロットのほうに、
重点が置かれており、

事件と問題の、
どちらをメインプロットとするか、
媒体や作品によって異なるのでは思います。

つまり、
本来的に、
どちらがメインで、
サブという決まりはなく、

メインプロットという言葉は、
映画のストーリーの大半が、
事件をメインとしているために、
多数決でつけられたネーミングなのかと思います。

事件=メインプロット、
と決まっている以上、
問題をメインとするストーリーに対しても、
問題がメインにもかかわらず、
それをサブプロットと呼ぶしかない、

このあたりが、
メインプロットとサブプロット、
という用語に対して、
ひとつ引っかかっていた部分となります。



サブプロットなる用語に対して、
もう一つ気になっていたのは、
サブプロットには二通りの意味がある、
という点です。

サブプロットとは主人公の問題や人間関係、
と先ほど書きましたが、
それ以外に、
脇役が抱えるプロットのことも、
サブプロットと呼びます。

たとえば、
「タイタニック」のメインプロット(事件)は、
タイタニック号からの脱出ですが、

このメインプロットには、
主人公であるローズとジャックのプロット(脱出劇)のほか、
フィアンセのキャルやローズの母といった、
脇役たちのプロット(脱出劇)も含まれています。

それをカテゴライズしたとき、
主人公であるローズとジャックのプロットがメインとなり、
それに対して、
キャルやローズの母といった、
脇役のプロットがサブプロットとなります。

つまり、
メインプロットの中には、
複数のプロットが存在しており、
どのキャラクターに焦点を当てるかによって、
メインのプロットが決まります。

仮に「タイタニック」が群像劇で、
ローズとジャックのみならず、
キャルやローズの母、
ジャックの親友など、
複数のキャラを均等にフォーカスしたものであれば、
複数のメインプロットが存在するストーリーになります。

メインプロットが複数あることが、
一概に悪いともいえないのですが、
それを避け、
メインプロットを一つにするため、
一人のキャラに焦点を絞ったものが、
一般的なストーリーであり、
「タイタニック」も同様です。

したがって、
メインプロットというのは、
主人公に焦点が当てられているため、
一つのものとして扱われますが、
実際には、
複数のプロットの集合体であり、
その内訳として、
主人公以外のプロットが、
サブプロットと呼ばれるのです。

そして、
話は最初に戻るのですが、
この脇役のプロット(サブプロット)と、
前述した、
内なる問題のプロット(サブプロット)は、 
同じサブプロットでも、
サブの意味合いが異なります。

前者は、
主体と客体における、
メインとサブの関係であり、

「タイタニック」でいえば、
仮にローズのフィアンセであるキャルを主人公とし、
キャルのプロットに焦点を当てた場合、
そのプロットがメインプロットとなり、
ローズやジャックのプロットはサブプロットになります。

つまり、
この場合のサブプロットのサブとは、
主役と脇役の主客関係を意味します。

したがって、
脇役のプロットは、
メインプロット(事件)、サブプロット(問題)問わず、
すべてサブプロットとして一括りにされます。

キャルでいえば、
メインプロット(事件)の脱出劇も、
サブプロット(問題)のフィアンセに愛されない悩みも、
脇役のために、
どちらもサブプロットと呼ばれるのです。

後者も、
本質的には主客関係であり、
事件に焦点を当てれば、
当然事件がストーリーの主体(主役)となり、
問題は脇役同様に、 
客体として扱われるのですが、

前述したように、
メインプロットとサブプロットの呼び方が、
固定されてしまっており、

仮にキャルの内なる問題である、
フィアンセに愛されない悩みに、
焦点を当てたとしても、
呼び名はサブプロットのままです。

したがって、
この場合のサブプロットのサブは、
単にそういう呼び名になっているから、
以外の意味は持ちません。

一口にサブプロットといっても、
このように意味合いが異なるのです。



メインとサブという言葉からは、
ハンバーガーセットのように、
ハンバーガーがメインで、
ポテトやサラダ、シェイクがサブ、
といったイメージを浮かべますが、
今説明してきたように、
メインプロットとサブプロットに関しては、
そうした単純な形をしていません。

あえて例えるなら、
ハンバーガーセットではなく、
ハンバーガーそのものでしょうか。

バンズがメインプロット(事件)、
ハンバーグがサブプロット(問題)で、
トマトやレタスやピクルスもサブプロット(脇役のプロット)、
といった感じで、

プロットにおいては、
メインとサブうんぬんより、
バンズ(メインプロット)の中に、
うまくハンバーグやトマト(サブプロット)が収まっていること、
つまり、
プロット同士の絡みこそが何よりも重要、
と自分は考えます。

いずれにせよ、
プロットの構造を捉えず、
言葉のイメージだけを受け取ってしまうと、
メインプロットがハンバーガーで
サブプロットがフライドポテトとサラダ、
みたいな話になってしまうので、
その点に関しては、
注意が必要かと思われます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?