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メインプロットとサブプロット考

ハリウッド式三幕構成には、
メインプロットとサブプロット、
という用語があります。

メインプロットは、
ストーリー上の事件のことで、
それに対して、
サブプロットは、
主人公とヒロイン(パートナー)の関係、
もしくは、
主人公の内なる問題、
と説明されることが多いです。

「英国王のスピーチ」でいえば、
主人公がスピーチの特訓をして、
スピーチを成功させる話が、
メインプロットで、
主人公とレッスン講師との友情、
もしくは、
主人公が抱えている吃音症への苦悩、
がサブプロット。

三幕構成では、
ストーリーの骨組みであるプロットを、
そのように分類しているのですが、

その二つ(メインプロットとサブプロット)って、
はたしてメインとサブの関係なのか?
とかねてより気になっていましたので、
そのあたりのお話となります。




今例にあげた「英国王のスピーチ」のほかにも、
たとえば、
「タイタニック」であれば、
沈没船からの脱出がメインプロットで、
ローズとジャックの恋愛や、
望まぬ婚約をさせられたローズの悩みがサブプロット、
あるいは、
「キサラギ」なら、
アイドルの死の真相を解明するのがメインプロット、
登場キャラたちによる絡みや、
アイドルから一番遠い存在であるという主人公の悩みがサブプロット、
となります。

ただし「タイタニック」の場合は、
前半はラブストーリーなので、
ローズとジャックが結ばれる話を、
前半におけるメインプロット(事件)と捉えることもできますので、
そのへんの区別が難しいところですが、

それはともかく、
ストーリーの事件、
主人公とパートナーの関係、
主人公の抱える問題、
この三点に対して、
先ほど書いたように、
自分としては、
メインとサブという言葉で分類されているのが、
いまいち腑に落ちません。

メインとサブでいうなら、
ドラマという観点においては、
主人公の悩みや人間関係を描いた、
サブのほうがむしろメインなのでは?
とも思います。



サブプロットと聞くと、
そもそも自分の場合、
前述した本来の意味ではなく、
本筋からそれたエピソードを連想します。

たとえば、
「タイタニック」の、
沈没の最中演奏を続ける音楽隊のシーンは、
その典型です。

ほかにも、
船長やジャックの親友、
設計士といった、
本筋には絡むことのない、
サブキャラにスポットが当たった展開やシーンなどは、
ザ・サブプロットといった感じです。

あるいは、
サブプロットの本来の意味である、
主人公の問題や人間関係が描かれているものに対しても、
ザ・サブプロット(サブ的なプロット)、
と感じることはあります。

たとえば、
「ダイハード」の場合、
メインプロットは、
主人公がテロリストを倒す話で、
サブプロットは、
主人公と妻のぎくしゃくした夫婦関係の話ですが、

本作を見てると、
主人公と妻とのやりとりは、
メインであるテロリストとの戦いに対する、
まさにサブのパートだと感じます。

理由としては、
主人公の妻がほぼ事件に絡んでこないため、
つまり、
サブプロットとメインプロットが切り離されているために、
サブ的なプロットに見えるのだと思います。

そう考えたときに、
おそらく、
メインプロットとサブプロットの原理として、
両者の絡み具合によって、
サブプロットの見え方が変わってくるのだと思います。

前述した「英国王のスピーチ」は、
吃音症の主人公がスピーチを成功させる話ですが、
スピーチを成功させる話(メインプロット)と、
吃音症を乗り越える話(サブプロット)の、
この二つが表裏一体の関係になっており、
そのため、
主人公の抱える問題に対して、
サブ的なプロットだという認識を(自分は)持てないのですが、

仮に主人公の抱える問題が吃音症ではなく、
スピーチに関係しない、
たとえば、
運動音痴とかだったら、
その場合、
主人公が運動音痴に悩む場面が、
メインプロットに関係しないため、
はっきりサブ的なプロットに見えるのだと思います。

「ダイハード」の場合も、
もし妻が主人公と一緒になって戦うなどして、
事件と夫婦関係が絡みあっていたなら、
夫婦関係の話をサブ的なプロットとして認識できなくなるのだと思います。

つまり、
サブプロットというのは、
メインプロットとの絡みが薄いほど、
その存在が目立つものとなり、

逆にうまく絡み合い、
メインプロットに溶け込んでいるものほど、
存在が認識されない(正確にはサブ的な存在に映らない)、
そうした皮肉がある、
と思いました。


そうなると、
メインプロットとサブプロットは、
メインとサブの関係というより、

自分の大好きなたとえになりますが、
オムライスにおける、
オムレツとチキンライスの関係だと思います。
(ちなみに自分卵アレルギーです)

オムレツとチキンライス、
どちらがメインで、
どちらがサブでもなく、

うまく融合していればグッド、
そうでなければアウト、

メインプロットとサブプロットは、
そのような関係にあると思います。

(前述した「タイタニック」の音楽隊などのエピソードは、
オムライスのたとえでいえば、
付け合わせについてくるブロッコリーといえます)

したがって、
チキンライスとは、
オムレツに包み込まれてナンボの存在であって、
チキンライスがむき出しになっている場合、
つまり、
一目でサブ的な存在と認識できてしまう場合、
それはプロットの組み方に失敗しているのでは、
そんなことを考えました。

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