デスゲームの幕開け 『オールスター後夜祭』が面白い理由 テレビかじりつきVol.25
オールスター後夜祭ってなんでこんなに面白いのだろう。
リアルタイムで視聴が叶わず、今回からついに解禁されたTver配信にて視聴した。
その時点でもうオンエア後の感想や結果について、Xのタイムラインからだいぶ摂取してしまっていた。
なにが起きたとか誰が勝って負けたのかとか
いわゆるネタバレを、全てではないにしても事前情報として得てしまっていた
けれどいざ観てみるとそんなことは杞憂に終わる。問答無用で面白かった。期待は余裕で超えてきた。
前回のオールスター後夜祭も相当に面白くて、その見どころの多さには感服した記憶がある
期待値は当然高かったのに、今回もきちんと新たなトピックスや企画を用意して楽しませてくれた。視聴者や演者の予測がつかないところを確実に攻めてくる。
今回の後夜祭を見て、その魅力の本質ってどこにあるのだろうと考えた。
それでひとつこれかもしれないと思ったのは、
デスゲーム的な面白さ
である。
デスゲームを「予備知識もなく集められた人間たちが死線と隣り合わせのゲームに否応なく巻き込まれ、生き残りをかけて人間の極限状態が試される中で戦う理不尽の極致」と、やや乱暴に定義すると、オールスター後夜祭もそれに近いと思った
今回の目玉企画として、かの名作『バトルロワイヤル』をモチーフに芸人「66人相撲バトル・ロワイアル」が幕を開けた。
GANTZ、アイアムアヒーロー、イカゲームなど、理不尽系パニックスリラーは挙げればキリがなく人気のコンテンツ。予測のつかない無軌道な展開は絶妙な緊張感をもたらす。
『バトルロワイヤル』は日本のデスゲーム的作品の中でも金字塔のひとつ。有吉さんは北野武のポジションを取り、少し照れくさそうにしながらも「今日はちょっと皆さんに相撲をとってもらいます」と告げた。
藤井プロデューサーを筆頭とした制作陣営による手の込んだ仕掛けに、喜々淡々とした有吉弘行&高山一実の進行が加わり、確実にお笑いでありながらも番組全体の空気感はデスゲーム要素をまとっていた。
デスゲームの世界観にはどこか夢心地というか、現実なのな夢なのかその区別が判然としなくなる曖昧さも欠かせない。
その点、今回のオールスター後夜祭は
こんなのどう考えてもデスゲームでしょ
意味がわからなすぎて世にも奇妙な物語のような不気味さもある
わけもわからずとにかく相撲を取り始める芸人さんたち
前述した通り、ここに芸歴や男女の区別なく全員がまったく同じ条件で放り込まれているのがデスゲームっぽい理不尽さを象徴していて良かった
体格を活かしたりスタミナを活かしたり共闘して難敵を一緒に倒したり、柔術を活かしたり逃げ回ったりコンビ同士で戦ったり協力したり。
このバトルロワイアルは見どころが本当に多かった
ふつうにお互いの武術経験なりバイタリティなりをぶつけ合ってがっぷり四つ。
これが野心を持った無名の若手同士とかじゃなく、全員が賞レースのチャンピオンやファイナリスト、冠番組やレギュラーを持った売れっ子だというのがめっちゃ面白い。
フィールドのあちこちでとんでもない豪華な組み合わせで戦っていて、お笑いファンであればそれだけでメシが進みそうな並び。
『有吉の壁』とかともまた違うわちゃわちゃ感や、ドキュメンタリーチックな粗さと闘争心が絡み合って最後まで目が離せなかった
中盤でお見送り芸人しんいちが芸風に見合った粘着質なしぶとさを見せていたのや、3時のヒロインのかなでがノブコブ吉村さんをガチで上手投げして無双していたのも最高。
"システマ"で知られるみなみかわがその実力通りに場を支配するも、だからこそ狙われて最後は複数人に仕掛けられて場外に落とされていたのもドラマチック。
そして終盤、Aマッソのふたりvs宮下草薙の宮下の対決はクライマックスにふさわしい迫力だった。すでに敗れ去った芸人たちが場外から手を叩きながら本気で声を張り上げ応援してるのはファイトクラブのようでもあった。
番組の手のひらの上で弄ばれながら、圧倒的な理不尽と予測不可能な壁に立ち向かう芸人さんたちがヒートアップしていく様は現代のバラエティの中でも異質かつ稀有。
わけもわからず巻き込まれ翻弄される芸人さんたちのリアクション。それらを臨場感を持って楽しめる生放送の強みを存分に活かした、素晴らしい企画だった。
お見送り芸人しんいちがまんまとハマった美人局、いつもなら事前に公開してる座席表を公開してなかった意図、毒霧に甘んじずに"白目"という発明企画をぶちかますチャレンジ精神。
細かなところまで攻め切っていて楽しかった
サポートが溜まったらあたらしいテレビ買います