見出し画像

大切なものを喪わずに済んだ話💕

ちょっと、見出し画像にいただいてきたイラスト、インパクトありすぎですが・・・。まぁ、先日のコンサートでの私の心象風景の一コマ、とお考え下さいませ( ̄▽ ̄)

先週の土曜日の午後、予定通り、山下一史指揮する、千葉交響楽団の第111回の定期演奏会に出かけてまいりました。

あの日、実は出かける直前まで、激しい雨が降っていたんです。傘を持つことが好きではない私、空を眺めながら、なんとか雨が上がってくれるよう、祈っておりました。晴れなくていい。雨さえ降らないでくれたら・・・・。執念に近い祈りが通じたものか、家を出る頃には、雨は上がっていました。一応、リュックの底に、折り畳み傘を忍ばせてはいたのですが、結果として、使わずに済みました。
ホールの最寄り駅に着くころには、遠くに青空すら見えています。
「奇蹟だ!」
電車を降りた私は、小さな声で、そう叫んだものです。

 何度か書いていますが、先月、私は最愛のマエストロ・山下一史が指揮するコンサートで、随分がっかり😞する、という悲しい経験をしています。山下さん指揮のコンサートで落胆する、という経験は、もうしばらくしてなかったので(そう。最愛のマエストロの指揮でも、そういうことは皆無じゃないんですよねぇ)、ショックも大きかったようです。
しかも、私自身の調子も、どうにも不安定だったので、ダメージも小さくなかった。ちょうど1か月前の4月21日の夜、上野の東京藝術大学の奏楽堂(大学所有のコンサートホールだとお考え下さい)から、雨に濡れつつ駅に戻る最中、私は、すっかりふさぎ込んでいました。
「私の感性が、鈍くなっているのかなぁ? やっぱり、♬一つ読めない素人では、どんなに回数重ねてコンサートを聴いても、理解や受容に限界があるんかなぁ??? クラシック音楽聴くこと、もう辞めたほうがいいのかなぁ・・・・(T_T)」
折り畳みの傘は持っていたのですが、雨をよける気にすらならないほど、私は思いつめていました。
何しろ、2週続けて、山下さんの指揮で聴いたというのに、その演奏に少しも心が弾まないんです。私が、世界で一番信頼しているマエストロの指揮の演奏に、心が反応しない。私にとって、クラシック音楽は、趣味の域を出ませんが、でも、私にとってはなくてはならない要素のはず。それを手放す・・・・・? ただでさえ、落ち込みがちの私の目の前は、重くて厚い雲に、視界を遮られた状態でした。

それでも、日々の生活の中で、少しずつ、状態が上向きになってきました。そのおかげもあって、「ともかく、聴いてからだわ!」と、腹をくくったのです。

そうして迎えた21日。先に申し上げたような奇跡のような現象があって、なんだか、吉兆のような気がしました。会場は、千葉県の習志野市にある習志野文化ホール。ここは、ホールの周辺に樹木がたくさんあって、この季節は、ツバメがたくさん飛び交っていたりします。この日も、曇天ながら、ツバメたちが元気に飛び回っています。雨上がりで、新緑もきれいです。色で例えるとさわやかなライトグリーンという感じの香りも、漂っていて、私を元気づけてくれました。

少し早めにホールに到着したので、開演まで時間がありました。私は、演奏前にプログラムの作品解説は読まないことにしています。付け焼刃で知識を詰め込んでも、目の前の演奏を聴く邪魔にしかならないことを、経験上、知っていますから。私がそれくらい素人だからなのですが、目の前の演奏を充分に楽しむために私が採っている作法です。なので、のど飴を口に含みつつ、本を読みながら、開演を待ちました。

今回は、ドヴォルザークの「チェロ協奏曲」と、シューベルトの交響曲第9番「グレート」。シューベルトはあまり好きではない分、詳しくもないのですが、この日のほぼ一週間前、ラジオの生放送の演奏会で演奏されていて、良い曲だなぁという印象を持っていました。
ただ、私の本音を明かせば、大好きなドヴォルザークの大好きなチェロのコンチェルトが、最愛のマエストロの山下さんの指揮で聴ける、ということに関心は集まっていました。しかも、オーケストラは、山下さんがこの6年、育てなおしをしてこられて、急成長している千葉交響楽団ですからね。ソリストは、楽団の首席チェロ奏者・山澤慧さん(彼の名前を出すと、いつもはスルーの仙台フィルのチェロ奏者・山本純さんが、私のレポートに反応してこられます。山澤さんは、仙台フィルにいらしたこともあるのだそうで、山下さんともそのころ、知り合ったようです)。折々、コンサートで素敵な音色を聴いている方ですから、楽しみでもありました。

さて。始まったドヴォルザーク。静かに深く、地を這うような、けれど、暖かさを持ったオーケストラの音色。その音色に包み込まれて、私の心身がほぐれてしまいました。オーケストラだけでの演奏が随分続くなぁ、と、意外に思い始めた頃、山澤さんの深くて柔らかなチェロが響き始めました。
少し緊張しているようにも見えた山澤さんですが、演奏が始まれば、次第に熱を帯びてきて、チェロと一体になっての力演です。
オーケストラとソリストと指揮者が、文字通り一つになっての熱演を聴いているうちに、私は突き上げてくる涙をこらえることができませんでした。

「私の聴きたかった音楽が、やっと聴けた!」

たぶん、涙があふれてきた理由を分析したら、そういうことになるのだと思います。最初の一音から、こちらの心身をとらえてしまう熱量を持った演奏。理屈ではなく、聴く者の魂に届く人間性豊かな音の織物。私が愛してやまない音楽が、やっと目の前の舞台で繰り広げられていました。

4か月ぶりに、指揮台のうえで、山下さんが、安心して、しかも笑顔で指揮してらっしゃいます。何度も繰り出されるガッツポーズと、満面の笑み。それを観ていたら、またもや、うれし涙が出てきました。

私は、素人なので、音楽の専門的なことは全然わかりません。ただ、そうした門外漢の素人が聴いても、感じるものがある演奏。それこそが名演なのだと、改めて、確信しました。
いろんなことが重なって、危うく、クラシック音楽を聴く愉悦を手放すところでした。私の感性が鈍くなって、もうクラシック音楽を聴く資格などないのだと、思いつめていましたから。
けれど、そうではないのだと、私が求めている演奏が聴けてなかっただけだったのだと、この演奏会で教えていただきました。早まらないでよかったです。

実は、この演奏会では、いろいろニュースやこぼれ話もあったんですが、それはまたの折に。

ここまで読んでくださった方、心から感謝いたします💕♬

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