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デビュー

1年生8月中旬に部活合宿があった。
田舎の方に行って走ったりするのではなく、都内のそれも比較的人が多い場所でのもの。
マイナースポーツで練習出来る施設があった場所だ。施設を利用できるのは早朝と夜(要は一般営業時間外)であったため、朝練が終わると日中は比較的自由時間があったのだ。ありがたい事に、練習にはOBの方々が参加してくれてそれである程度人数が集まり練習になっていた。
そんな合宿中のある日、OBの方々の間で
「麻雀でもやらないか?」
という話が出た。OBは7~8人居たのだが、麻雀出来る人は5人。
1人余ったのであるがその方が「2卓にすればいいじゃん」との言葉が出て、3年生が2人参加で7名。あと1人・・・・
実はこの合宿前に2年生が退部して、3年生と1年生という人員構成になっていたのだが、OBと3年生が
「1年の中で麻雀出来る奴居る?」
「大学、社会では麻雀は必須科目だぞ」

と天の声が・・・
1年の視線が、皆ワシに向く。
「おっ、ぷくぷく出来るのか!!じゃ決まり!!」
という拒否権が無い中で参加となったのである。
ワシは身体が疲れていたので、本当は昼寝をしたかったのに・・・
1年生みんなは”スマン”みたいな顔をしていた。要は生贄みたいなもの。
この生贄のおかげで、残った面々はOBのお世話せずに伸び伸びできるのだ。
拒否権が無いワシ、仕方なくついていくのだが、どう見ても18歳には見えないんですが・・・・
宿泊施設から歩いて7分くらいの場所に”麻雀富士”(今はもう無いみたい)という雀荘へ。低層雑居ビルの2階にあった。

雀荘は高校生は出入り出来ません

大学3年生のOBが5人(21歳と20歳)、3年生が2人(18歳)、1年生のワシ(15歳)の8人。雀荘の店員さん、ワシを見ても何も言わず2卓借りれた。
正直、ワシ以外は年齢より老けて見える人が多く、ワシだけ明らかに18歳未満とわかる雰囲気だったが、店員さんはにっこり笑って
「頑張ってね!!」と言っておしぼりを手渡された。
2卓の内訳は、OBいわく上級卓と一般卓らしい。ワシはOB3人と一般卓へ
3年生と一緒だと気が引けるだろうというOBの無用な配慮があったらしい。
ルールは、お気持ち50円・27000点持ち30000点返し・1発裏ドラは1お気持ち。ウマが10-20で喰いタン有の”フリテンは現物でなければOK”という非常に、 ”ほがらかなルール” であった。
例えば⑥-⑨待ちで⑨を捨てていても、⑥が出れば和了可というもの。
”そんな麻雀アリなの?”と思いはしたが、神であるOBに対して、下僕の1年生に拒否権は無い。

初めの半荘、ワシは控えめに手づくりして、差しさわりの無い程度に麻雀していて、若干沈みの3着だった。
それを見た別卓OBが「ぷくぷく遠慮しなくていいぞ!!」
同卓OBも同じことを、3年生も「小遣いもらうと思ってやっていいぞ」
と言ってくれたので、2半荘目以降は普通に打った。
正直なところ同卓したOBは、麻雀は好きだが上手では無かった。
4半荘目の途中で、一番負けていたOBが
「リーチして、盲牌で和了したら飯ご馳走するぞ!!」
と言い始めた。
OBの方々は、リーチして盲牌間違いの誤ツモ連発。
ツモと発声したら、負けの様相が漂うになってきた。ここまでくると、もう違うゲームじゃん。
ワシ、盲牌はその当時あまり出来なかったのだが、ワシでも出来る牌がいくつかあったので、その待ちでリーチした。
数巡後、ワシは躊躇なくツモった。盲牌間違いはない!!

白単騎待ち

リーチ・ツモ・ドラ1だったと思う。
これは間違いようが無い。最後は麻雀ではなく、知恵で勝負したのだ!!
時間の関係もあり、4半荘目途中で終了。ワシはアルバイトほぼ2日分のお気持ちを頂く。場代はOBの方々で出していただき、約束通り後日食事もご馳走になった。
同卓した麻雀が上手でないOBの方は、「負けた!!負けたぁ~」と言いながらニコニコした顔でお気持ちをくれた。
ちなみに盲牌麻雀、白待ちと6-9s待ちなら絶対間違えないので、この2つの待ちになるように手組をしていた。
それ以降、そのOBの方々はワシの名前もしっかり覚えてくれて、変に固くなることなどなく、しっかり・やさしく指導してくれた。ありがたや。

ワシの雀荘デビューは、こんな一風変わったデビューの仕方であった。
夏休み明け2学期開始時に、何故かこのOB麻雀の事が、知れ渡っていたのである。リーク元は今でも謎だが、3年生から別の部活の3年生そして1年生に流れていたらしい。(裏はとれていない)

2学期が始まる
そして麻雀により深くハマっていくのであった・・・・

ぷくぷく





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