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日常の中の小さな非日常

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闇堕ちへの誘い(いざない)⑤

闇堕ちへの誘い(いざない)⑤

それから少しして。

わたしはたまたまご縁があり、自宅から60キロほど離れた街で夜のお仕事、キャバ嬢を経験してみることとなった。

地元より断然華やいでいて、飲食店やショッピングビルに商店街、はたまた交通機関なども充実していて、駅前も賑やか。もちろん人口も地元の非ではない。

それでもどこか垢抜けきれないこの街は、のんびりした人間性が地元とさほど変わらず、未だにとても好きな場所のひとつだ。

そん

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闇堕ちへの誘い(いざない)④

闇堕ちへの誘い(いざない)④

その後の話。

数日経って、自宅で友人にこの謎のキャッチに二度も遭遇した話をしていたとき、ノリで名刺の電話番号に実際電話してみようかと言う話になった。

もちろん応募するなどと言う気はサラサラなく、どんな仕事内容のキャッチだったのかを知りたいと言う欲求を満たすためだった。

早い話がただの好奇心である。

一人ではできないことも、二人なら勇気凛々だ。

アンパンマンのテーマソングよろしく勇気りんり

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闇堕ちへの誘い(いざない)③

闇堕ちへの誘い(いざない)③

それから二、三ヶ月も過ぎた頃。

季節もそろそろ変わる頃で、わたしはまた洋服を買おうといつものショッピングルートへと向かった。

駅前駐車場に車を停めロータリーの前を歩き出した時、一瞬デジャヴかな?とドキッとした。

数ヶ月前と同じように、品川ナンバーの高級セダンが数台ロータリーの端に停車していて、周りにはまたギャル男とおぼしき青年たちが点在して、道ゆく若い女性に声をかけている。

また遭遇してし

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闇堕ちへの誘い(いざない)②

闇堕ちへの誘い(いざない)②

スタスタと歩みをすすめながら、ダメージデニムのイケメンは話を続けた。

「お姉さん、かわいいですね!芸能界に興味ありませんか?」

ことわっておくが、わたしの容姿はごく一般的。

飛び抜けて目を見張るような美人だとか、学校で話題になるようなかわいい子、というわけではない。

至って普通、地黒だし、背は小さいし、スタイルだって中肉中背で、可もなく不可もなくと言った具合だ。

芸能界だなんて自分とは無

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闇堕ちへの誘い(いざない)①

闇堕ちへの誘い(いざない)①

別記事で少し触れたが、若かりし頃の私はというと、世の中で言う「ギャル」に近かかったと思う。

ノリよく友人とワイワイ楽しく遊び暮らし、恵まれた楽しい日々を過ごしていた。

のんびりした田舎の小娘だからか、あまり人を疑ったりせず、我ながら中身はピュアだったのでは無いかと振り返って思う。

そんな20歳すぎくらいの時の出来事。

近くの街にひとり買い物に出たわたしは、なにやらその駅前で不思議な光景を目

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