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はんこの先に見えなかったもの

「こちらに捨印を」

「うちのボスはそのへん緩やかなんで構わないですけど、そもそも捨印って、けっこうリスキーですよね。」

「まあ、でも、あまり重要でない部分の訂正にしか効力はありませんので。」

「たとえば、住所の間違いとか誤字脱字とか、程度ですよね。」

「そうですね。」

「だったら重要でないところの訂正は線二本ひいた上で書き直すだけでいいんじゃないですかね。訂正印とか要らないですよね。」

「いえ、そういう決まりになっておりますので。まずは書類が通りませんと。」

「ここの、本人の認印とか書いてありますけど、会社に社員全員分の認印保管してありますよ。たぶんどこの会社もやってますよね。」

「すみません、こちらに捨印を。」

「あと、署名捺印記名押印の線引きはどうしているんでしょうか。自署が出来ない人のために代筆をしたという署名捺印欄があり、あとは本人の押印って、色々と偽造しまくりますよね。僕が確かに捨印を捺印したと言う署名捺印は必要ないんですか。」

「すみません。ご回答しかねますので、こちらに捨印を…」

「捨印の捺印に失敗したときは二重線で消して訂正印が必要ですか。」



(306日)

#エッセイ #コント部 #ライフスタイル #僕なりの幸福論 #昭和平成の実話やで #押印廃止 #河野太郎さんの功績

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