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肩書を全部外しても僕は僕として認識されるのだろうか

窓口業務担当のさっちゃんが産休に入ることになって、臨時採用のカミヤさんという女の子がやってきた。
年頃は二人とも同じくらいなので、仲睦まじく毎日過ごしているようだ。
休憩時間、社員用自動販売機の前で小銭を出していると偶然カミヤさんに会った。
一本ご馳走しながら挨拶がわりに会話を切り出してみた。
「どう?引き継ぎ」
少しだけ顔色が曇るのを、僕は視線の端に捉えた。
「あの、実は…さちこさんの引き継ぎ資料が…」
「うちは来客も出入りの業者さんも多いし、業務も煩雑だしね色々と。」
色々と…まあ不安だよな。入社して間もないわけだし。
とは言え、聞いてしまったからには少々気になる。


ポケットから再び小銭を取り出し、温か〜いほうの麦茶のボタンを押す。
業務部に出向くと、幸いにもカミヤさんは退社しているようだった。
さっちゃんに麦茶を手渡しながら
「引き継ぎ進んでる?」
「わぁ、ありがとうございます。特に問題は無いですよ~」
「あ、これ引き継ぎ資料?見ていい?」

手書きの丸っこい文字で書かれているその資料に目を落とす

「さっちゃん…これじゃわかんないよ…」


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