見出し画像

縛られるもの縛るもの。手放す勇気

なんだか珍しく母と諍いをした。

「おばあちゃん、あんな田舎で独り暮らしなんて病院だって通うのにひと苦労だし、買い物だって不便なところで…。こっちへ来たらいいと思うんだけど、どうしても嫌だって。」
「Amazonとクロネコのおかげで物品が翌日届くこのご時世で、オンライン診療だって可能だ。使えるサービスは使ったらいいじゃん。」
「生まれた土地を離れられないのはよく分かるんだけど、老いては子に従えって言うじゃない。もしお母さんだったらお兄ちゃんの言うことに従うよ。新しい土地なんて全然怖くないもの。」
「意識のはっきりしている老人を無理やり子の人生ステージに連れてくるなんて悪趣味だよ。家族と一緒だからって良い人生とは限らないよ。」
「だって誰も知らないところで亡くなっていたとかになったら目覚めが悪いじゃない。」
「だったら世間体が悪いから同居してくれって言ったほうがまだ潔いと思うよ。それは残される側の問題だし、想像力の乏しいご近所たちとは付き合わなければよい。」
「そんなんでみんなが幸せになるのかしら。」
「『家族の重荷になることが不幸なことなんだ』と感じ、自身に納得させているご老人が子に従っているだけのことだ。家族が面倒見ていたって人はいつか死ぬもんなんだからさ。死ぬときは誰だって独りだし、明日交通事故で死ぬかも知れないじゃないか。だいたい孤独死とか言葉だけが一人歩きしすぎなんだよ。

だいぶ熱がこもってきたところで兄嫁が笑いながら介入してきた。

「なんでヤマダさんとこのお祖母ちゃんの話で揉めてるの?」

そうなのだ僕の両祖母はもうとっくの昔に他界していた。

ヤマダさんのお祖母ちゃんの人生なんだから幸福の選択権はヤマダさんのお祖母ちゃんにあるはずだ。他の誰にもヤマダさんのお祖母ちゃんの正解を決めることはできないし一人ひとり正解は違っていいじゃないかと僕は思ったりするのだ。

#ゆるく生きよう #コント部 #エッセイ #僕なりの幸福論  #毎日note #家族について #106日め #幸福の正解

読んでくださってありがとうございます。スキとかシェアとかしてくださると、きっと明日も頑張れます!