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【ファンドの想い:第3回「立飛ホールディングス」】第1部:GREEN SPRINGS

貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」上で、「立飛ブルワリーファンド#1」(以下、本ファンド)が公開されました。本ファンドは、東京都立川市を中心に不動産事業を展開する立飛ホールディングス(以下、立飛グループ)が借り手企業となっています。
立飛グループは近年、立川の地域社会に貢献するため、ショッピングモール「ららぽーと立川立飛」や、日本最大の人工ビーチ 「タチヒビーチ」など、所有不動産を一体的に再開発しています。2020年4月には、立川市が都市軸としているサンサンロードと国営昭和記念公園との間に新しい大型複合施設を完成させました。心もからだも健康的な状態を意味する「ウェルビーイング」をテーマとした「GREEN SPRINGS」です。
同施設内の都市型リゾートホテル「SORANO HOTEL」を運営・管理するグループ傘下の立飛ホスピタリティマネジメント社は、立川市内に「立飛麦酒醸造所(立飛ブルワリー)」を構えてクラフトビールの醸造・販売も手がけています。本ファンドで集められた資金の一部は立飛ビールを販売するキッチンカーの製造や運営費などに充てられる予定となっています。今回、本ファンドの借り手企業となる立飛グループの魅力を探るため、GREEN SPRINGSのプロジェクトを主導した関係者たちに話を聞き、3部に分けてお届けします。
第1部は、GREEN SPRINGSの魅力をレポートします。

都市と自然が交差する空間

立飛グループが用地を取得する前、現在のGREEN SPRINGSがある一帯は財務省の管轄でした。立川駅付近の広大な敷地に関心を持つ企業はあったものの、国立昭和記念公園が近いことから規制が厳しく、なかなか買い手はつかなかったといいます。そんな中で立飛グループ・村山正道社長の号令により立飛グループが土地を取得することになりました。
5年がかりでプロジェクトを主導してきた立飛ストラテジーラボ執行役員の横山友之さんは、プロジェクトが始まった2015年を、
「立飛グループの村山社長から、この3万9,000平方メートルの更地をバンッ!と与えられて、良いものを考えてくれと。そこからプロジェクトが始まりました。」
と振り返ります。
用地にかかる規制の厳しさを懸念していた他社とは違い、横山さんは規制の厳しさをむしろポテンシャルと捉え、
「航空法の高さ規制で高い建物を建てられないため、結果として空が広い。環境性能というポテンシャルを生かせると思いました。」と考えていたとのことです。

GREEN SPRINGSは、国営昭和記念公園と隣接する緑豊かな立地条件に恵まれ、敷地面積は約3万9,000平方メートルを誇ります。施設内には、レストランやカフェ、オフィス、美術館、保育園、ホテル、多機能ホール、駐車場があり、緑と水辺が配されたランドスケープデザインによる空間が広がっています。
都会と自然が交差する空間が評価され、2021年度グッドデザイン賞を受賞しました。同賞の審査委員は「外から見えない部分に駐車場を納め、外周道路に面した部分に店舗などを配置し、建物と一体化した自然豊かな広場を配置した計画は秀逸である。」と評価しています。

“密”のない空間に人々が集う

横山さんはFundsの会員属性に着目していると言います。
「GREEN SPRINGSは属性でターゲットを設定していません。ウェルビーイングを探している人という意味で、”ウェルビーイングシーカー”をターゲットにしています。平たく言うと、金銭的に多少の余裕があり、感度と意識の高い方々です。Fundsが会員として持っている人たちの属性に近いのでは、と思ったことがきっかけで、サービスに関心を持ちました。」
そもそも、GREEN SPRINGSのテーマである「ウェルビーイング(Well-being)」とは、心身と社会的な健康を意味する概念を指します。横山さんは
「企画当初はウェルビーイングという言い方をしていませんでした。心や体の健康に気を使って人生をトータルでどう生き生きと過ごせるか、みたいなことに皆さんのマインドが移っているだろうと思って、次の時代の気分みたいなものをワードとしてまとめたときに、ウェルビーイングという言い方になりました。」と話します。

GREEN SPRINGSは2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の発令により外出自粛が推奨された中でオープンを迎えました。その後、社会では「ソーシャルディスタンス」という行動規範が普及し、人と距離を取って生活を送ることが日常となりました。
ウェルビーイングをテーマとするGREEN SPRINGSは、そんな社会情勢の中で人々の間に浸透していきました。中央広場は植栽と水辺によって空間が形成され、広場から多機能ホールの屋上展望デッキに向かう階段には水が流れる全長120メートルの「カスケード(連なった滝)」があり、人々の憩いの場となっています。

立飛グループの気概

都市と自然が交差する広大な空間は、家賃が発生しない共用スペースを広く取ったり、容積率500%のうち約160%しか使用しなかったりしているからこそ実現が可能となったといいます。グッドデザイン賞の審査委員は立飛グループの取り組みを、「企業のパブリックマインドが、この立川の街をつくり、イメージ向上に大きく寄与している。」と評価しています。
こうしたパブリックマインドは立飛グループの村山正道社長の姿勢に由来する部分が大きいとのことです。横山さんは、
「目先で稼ぐ不動産ではなく、エリアに対して意味があるものをやりたいっていう気持ちが強い人なんです。弊社は立川市の25分の1に及ぶ土地を持っています。仮にGREEN SPRINGSで儲けを取れなくても、エリアの都市格が向上した結果として、残りの広大な敷地の価値が上がればいいのではないか、と考えているんです。」と話します。

立飛グループは2024年、立川で創業して100年を迎えます。横山さんは、立飛グループとして次の100年を見据えた末、地域のデベロッパーとして責任を取るとともに、自社の不動産を強くしていくための要となる場所が必要だったと話します。
「人口減や低成長が続き、不況とインフラが同時に訪れるスタグフレーションの様相も呈している今、特徴のない街は都市間競争で負けていくと思っています。立川が負けていく街になってしまうと、立川に広大な土地を持つ弊社の事業も弱くなっていく。だからこそ、地域のポテンシャルを活かして、次の時代の気分を反映したものを作っていくべきだと考えています。」