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【ファンドの想い:第3回「立飛ホールディングス」】第2部:立飛麦酒醸造所(立飛ブルワリー)

貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」上で、「立飛ブルワリーファンド#1」(以下、本ファンド)が公開されました。本ファンドは、東京都立川市を中心に不動産事業を展開する立飛ホールディングス(以下、立飛グループ)が借り手企業となっています。
立飛グループは近年、東京・多摩地区のターミナル駅、JR立川駅の北側で大規模な再開発を進めています。2020年4月には、立川駅から北欧家具量販店「IKEA立川」へと向かう通りの間に新しい大型複合施設を完成させました。心もからだも健康的な状態を意味する「ウェルビーイング」をテーマとした「GREEN SPRINGS」です。
ファンドで集められた資金の一部は施設の運営費などに充てられる予定となっています。今回、投資家の皆さんの出資先となる立飛グループの魅力を探るため、GREEN SPRINGSのプロジェクトを主導した関係者たちに話を聞き、3部に分けてお届けします。
第2部は、立飛グループの傘下企業が経営するクラフトビール工場「立飛麦酒醸造所(立飛ブルワリー)」の魅力をレポートします。

立飛からビール職人にコンタクト

航空機製造から始まった創業90年以上の立飛グループは、ビール造りにおいても自社のクラフトマンシップを発揮するため、ビール醸造家の清水秀晃さんを招きました。立川生まれ、立川育ちでもある清水さんは30年以上ものキャリアを誇り、2020年から立飛ブルワリーの醸造長として立川発のビール造りに打ち込んでいます。
“とにかく良いビールを造ってほしい”
立飛ブルワリーの立ち上げ当時、立飛グループから清水さんへ出された依頼は実にシンプルだったという。
「工場は全部、私がやりやすいように配置してもらっています。まっさらな土地に工場を建てられたので、最適な環境を追求できました」

立飛ブルワリーの醸造長に就く以前は、150年以上続く老舗酒造メーカー「石川酒造」でキャリアを積んでいたそうです。
「西国立に無門庵という料亭があって、その同じ敷地の中にクラフトビールの醸造所がありました。そこでビール造りに取り組んでいました」 
2017年から2019年にかけて世界的なビール賞を獲得するなど結果を残していたものの、料亭が廃業してしまい、その跡地を買い取ったのが立飛グループでした。
「当時、老舗のビール醸造所がなくなってしまうのは非常にもったいないという声があり、立飛としてもビール醸造を続けたいとのことでした」
そんなとき、立飛グループで再開発を手がける担当者が清水さんの元に訪れました。
「石川酒造の醸造所を見学したいと連絡を受けて、立飛グループの担当者の方に直接会って話したところ、ビール造りのアドバイスがほしいと言われました。立飛のことはよく知っていましたし、喜んで協力しますよ、とお返事しました」

工場の設計から始まった“新しいビール造り”

立飛グループは当初、料亭の跡地でビール醸造を続ける予定だったという。だが、醸造所の設備が老朽化していて、そのまま継続するのは難しいと判断されてしまいます。
「立飛グループの方と何度も話す中で、私からもいろいろ提案させてもらいました。すると、“そこまで言うんだったら、うちに来ませんか?”という話になりまして」
立飛グループからオファーを受けた清水さんは、立飛ブルワリーの立ち上げに奔走しました。
「私以外のスタッフは、醸造の経験がない、立飛グループの社員の方々です。ビール造りとは如何なるものなのか。ビールを造りために何が必要なのか。製法だけでなく、建物の設計にかかる時間や費用も含め、皆さんに理解してもらうように努めました」

清水さんや立飛グループの社員の尽力は実を結び、醸造所の設立から間もないにもかかわらず、立飛ブルワリーのビールはすでに高い評価を受けています。日本最大級のクラフトビールコンクール「ジャパン・グレートビア・アワーズ2022」で、「TACHIHI GOLDEN ALE」が銀賞、「TACHIHI DUNKEL」が銅賞を受賞しました。
立飛ブルワリーでは、高品質なビールを醸造するため、発酵中に発生した炭酸ガスが自然にビールに溶け込んでいくのを待つ自然発泡(ナチュラルカーボネーション)製法を採用しています。

また、原料は麦芽とホップのみを使用し、香料などは使っていません。清水さんは「麦芽とホップと水と酵母だけで造りっていうのが一番のこだわりです」と豪語します。

新鮮なビールを堪能できる醸造所

さらに、立飛ブルワリーは酵母にもこだわりを見せます。酵母入りのビールはフレッシュでとろみのある口当たりが特徴的で、独特の風味を感じられるといわれ、クラフトビールの特徴ともいわれます。酵母は、その状態によって「乾燥酵母」と「液体酵母」に大別されます。
「乾燥酵母」は圧搾や乾燥によって脱水して保存性を高めたもので、多くの酵母がこの状態で流通しています。「液体酵母」は培養した麦汁に漬けた状態のため保存性は低いものの、培養された環境のままの自然な状態を指します。立飛ブルワリーでは品質の高いビールを醸造するため、液体酵母で培養しています。
一方で、ビールの温度が上がると酵母が活動を再開し、ビールの味わいを変化させてしまうため、酵母入りのビールは出荷時の味わいを保つために5度以下の冷蔵保存が必要となります。これには清水さんも頭を悩ませているそうですが、立飛ブルワリーの醸造所ならその点も心配ないとのこと。

「うちのビールは常温で流通できない。もっと厳密に言えば、ビールを瓶詰めした時点で風味が変わってしまいます。フレッシュな状態で飲んでもらうためにも、醸造所に直接、足を運んでいただきたいですね」
立飛ブルワリーには、貯蔵タンクから直接提供されるフレッシュなビールをその場で楽しめるタップルームが併設されています。1階部分はカウンタースタンディングスタイルで、2階では醸造工場の内部を見られます。
「ビールが苦手な方がここに来て、このビールだけは飲めると言っていただいたこともあります。ぜひ一度お越しください」

ビールをキッチンカーで販売へ

ファンドで集められた資金の一部は、立飛ブルワリーの事業にも充てられる予定です。GREEN SPRINGSプロジェクトを統括する立飛ストラテジーラボ執行役員の横山友之さんは、ビールの販路拡大のためにもFundsでアピールしたいと話します。
立飛ブルワリーのビールは、現在でもGREEN SPRINGSのレストランやカフェで飲めるほか、醸造所では施設内を見学しつつ堪能できます。今後は施設内にキッチンカーが登場し、ビールを楽しめる方法が増える予定です。資金の一部は、キッチンカーの開発にも当てられる予定です。横山さんは現在、キッチンカーのオープンに向けて準備を進めています。
「ネット通販などに力を入れつつ、ビールのキッチンカーをオープンさせたいと思っています。見栄えも素敵なキッチンカーは、販売戦略だけでなく、セールスプロモーションやブランディング戦略にも活用できます。今のところ、年内のオープンが目標です」