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成長の先行指標を読み解こう:スタートアップ投資術の要約Vol. 2

スタートアップ業界では、トラクションと表現される言葉があります。
スタートアップ企業の成長を示す指標のことです。

スタートアップにおいて「トラクションがある」と言う時は、その事業に進歩や勢いが見られ、順調に成長する見込みがあることを意味します。

逆に「トラクションがない」と言う時は、顧客が掴めず成長の兆しがないことを意味します。

投資先の先行指標を見極める

スタートアップは、上場企業と同じように、わかりやすく売上・営業利益の推移だけで成長性を図ることが難しいです。

そこで、投資先を判断するときの問いとしてトラクションの観点をもっておくことがオススメです。

わかりやすい問いに変換すると下記の通りとなります。

スタートアップの成長に最も関係がある指標が何か?

トラクションを言い換えた問い
トラクション=先行指標を見極める例

トラクション(先行指標)の具体例

下記の要素がスタートアップの先行指標になり得る要素です。

  • 顧客数の増加率

  • 顧客単価の上昇率

  • アクティブユーザー数の増加率

  • パートナーシップ数

  • 採用者数の増加率

  • マーケティングリード獲得数の増加率

  • 商談数の増加率

FUNDINNO調達企業から読み解く先行指標

みんかぶの連載にて、『“未知の価値”を見極める! スタートアップ成長の分水嶺「トラクション」とは何か クロスロケーションズの事例』を解説した記事があります。

FUNDINNOで調達をしたベンチャー企業であるクロスロケーションズの成長戦略が分析されています。

クロスロケーションズの成長戦略を見極めるためには、下記の2つのトラクション=先行指標を読み解くことが重要となります。

  • 顧客数

  • 顧客単価

この2つの指標が動いており、今後の成長性を見込める判断ができると読み解くことができます。

売上や利益よりも、顧客数と顧客単価が動いていれば、今後の成長性があると判断ができます。

これは、FUNDINNOの調達時点において、50社の企業に使ってもらったことで、LAPは月額50万円前後の金額でも企業に受け入れられたという検証ができたということになります。そういう意味では、無償で顧客に使ってもらい、ユーザー数を増やしたのではなく、「LAPは、顧客に対価を払ってもらった上でトラクションを獲得できていた」と考えられ、これは投資家からすれば、投資判断における重要なポイントだったと言えます。

【特集】“未知の価値”を見極める! スタートアップ成長の分水嶺「トラクション」とは何か クロスロケーションズの事例
村上茂久のスタートアップ投資術-新世代アップルの見つけ方-(3)

トラクションを読み解く上での注意点

ただし、トラクションだけで判断するのは危険です。トラクションがあっても、その成長が持続可能かどうか、競合他社との差別化ができているかどうかなど「本質的な優位性」を見極めることが重要となります。

ぜひ、ベンチャー企業への投資判断をする際は、スタートアップの成長に最も関係がある指標が何か?を考えてみてください。


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