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日本の国立大学ベンチャーエコシステムは機能しているのか?

日本にベンチャーエコシステムを形成するために、「大学」は非常に重要な存在です。

前回のnoteでは、米国(スタンフォード大学)、中国(清華大学)などは、大学がスタートアップエコシステムの起点になっていることに触れました。

今回は、経済産業省の大学発ベンチャーデータベースから読み解く「日本の大学ベンチャーの実態」を読み解いていきます。

大学発ベンチャーデータベース(経済産業省)

大学発ベンチャーというキーワードは聞く機会が増えました。

ここで気になるのは、2つの問いです。

  • 実際大学ベンチャーの数は増えているのか?

  • 優良な大学ベンチャーは出てきているのか?

経済産業省の大学発ベンチャーデータベースの数字から実態を見ていきたいと思います!

①実際大学ベンチャーの数は増えているのか?

A:増え続けています。

統計データによると、大学発ベンチャー数の推移は年々増加傾向です。

大学発ベンチャーデータベースより引用

20年で5倍強も増えていることがわかります。

この大学発ベンチャーが伸びている裏側を読み解いてみます。

大学発ベンチャー数が多い大学のトップ3を整理すると
1位:東京大学
2位:京都大学
3位:大阪大学
となります。

大学発ベンチャーデータベースより引用

2014年に「産業競争力強化法」が施行され、産業競争力強化関連施策の推進として国立大学法人等によるベンチャーキャピタル(VC)等への出資が定められました。国立大学法人も「稼げる大学」になることが求められる背景がありました。
その流れの中で、大学系ベンチャーキャピタルが生まれました。

  • 東京大学→東京大学協創プラットフォーム開発(株)

  • 京都大学→京都大学イノベーションキャピタル(株)

  • 大阪大学→大阪大学ベンチャーキャピタル(株)

ベンチャー企業を生み出す上位3校のVCは「ベンチャーを新たに生み出す・増やす」役割を果たしていると理解することができます。


ここまで、大学発ベンチャーが増えていることは理解できました。

続いて見ていきたいのは、大学発ベンチャーで優良ベンチャー企業は育っているのか?という問いです。

②優良な大学ベンチャーは出てきているのか?

まず、大学発ベンチャーの業種割合をみてみます。

その他サービスに分類されるところが多いですが…比率が高いのは「バイオ・ヘルスケア・医療機器」の分野です。

大学発ベンチャーデータベースより引用

大学発ベンチャーは下記の5つに分類されると定義されています。

  1. 研究成果ベンチャー

  2. 共同研究ベンチャー

  3. 技術移転ベンチャー

  4. 学生ベンチャー

  5. 関連ベンチャー

1. 研究成果ベンチャー、2. 共同研究ベンチャー、3. 技術移転ベンチャーに含まれる、研究や技術開発に大きな投資が必要な領域が、大学発ベンチャーに多く、優良なベンチャー企業が生まれているのではと仮説を持つことができます。

大学発ベンチャー企業で有名なのは、筑波大学准教授でありながらメディアアーティストとしても活躍する落合陽一氏が率いるスタートアップ企業ピクシーダストテクノロジーズです。

「アカデミアの先進技術を連続的に世に出し社会へ価値提供する」ことを目指されているベンチャー企業です。

ピクシーダストテクノロジーズのように、大学の中に眠っている研究知見や技術資産を活用できる可能性は、多く存在していそうです。

ちょうど、東北大学発の優良な技術ベンチャーが日経産業新聞にて紹介がされていました。

仙台で半導体や電子部品関連のスタートアップが成長している。事業の起点となるのが、日本を代表する半導体技術者を数多く生み出した東北大学だ。大学が研究成果にとどまらず、施設や人材面でも全面協力し、次世代製品が世界に羽ばたき始めている。100万都市でありながら東京本社の企業が集まる「支店経済」と言われてきた仙台の産業振興にとどまらず、日本の半導体再興の糸口になろうとしている。

日経産業新聞 仙台に半導体再興の芽 東北大学発スタートアップが成長

上記の記事の中で、FUNDINNOで資金調達をしている『研究開発のDX”に取り組むプラットフォーム「Co-LABO MAKER」』も紹介されていました!

大学発ベンチャーは量・質ともに、これからさらに増えてくることに期待です!

まとめ

今回の記事では、大学発ベンチャー企業の動きをまとめてきました。

FUNDINNOからも、魅力的な事業が大学発で生まれています。

大学を起点にベンチャーエコシステムを形成することは、日本の産業戦略として重要なポイントになるはずです。

FUNDINNOでは、今後も大学や大学ベンチャーキャピタルとも連携をしながら、有力なベンチャー起業を増やしていく動きをつくっていきたいと思います!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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