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日本にスタートアップエコシステムをつくるために-シリコンバレー・中国の動きから「京都」の可能性を探る

週末に、こちらの書籍を読み、改めて「これから必要とされるスタートアップエコシステムとは何か」を考えていました。

スタートアップエコシステムとは?

大企業・大学・研究機関、政府などが協力してネットワークを築き、スタートアップを生み出し続けるためのシステム・仕組みのことです。

Wikipediaより引用します。

Wikipedia Startup Ecosystemより引用

シリコンバレーのエコシステムが代表的です。

「日本版シリコンバレーの創出に向けて」の書籍の中で下記のような記載があります。

世の中では、シリコンバレーの成功は、イノベーションのエコシステムが形成されているからであると評価されている。

中略

スタンフォード大学のケンシクシダ教授は、シリコンバレーのエコシステムを六つの要素にまとめている。
①多様な金融システム(リスクマネー)、②多様で洗練された人材市場、③産学連携メカニズム、④大企業と小企業の共生をもたらすオープン・イノベーション、⑤企業家精神を奨励する社会システム、⑥専門サービスシステム(法律、財務、人材仲介、オフィスなど)からなる。

アメリカはユニコーン企業数が突出して多い特徴があります。
その背景には上記のような「エコシステム」が存在していることがわかります。

■ユニコーン企業数
アメリカ:228社
中国:122社
イギリス:25社

引用元:https://www.cbinsights.com/research-unicorn-companies

世界各国で、シリコンバレーに続こうとする動きが進んでいます。

中国のスタートアップエコシステム

アメリカに続いてユニコーン企業数が多いのが中国です。

中国のスタートアップエコシステムでとくに注目すべきは「産学連携メカニズム」です。
スタートアップエコシステムの起点に「大学・学術研究」が存在しています。

シリコンバレーはスタンフォード大学・カリフォルニア大学バークレー校がスタートアップエコシステムの起点として有名です。

中国では清華大学を中心としたエコシステムが形成されています。

こちらの記事に詳しく紹介されています。

中国は1978年に改革開放政策が始まってから、民間企業の設立が認められた。この40年余りの間に多くのイノベーション企業、特に最近注目されるハイテクスタートアップが続々と誕生し、中国も創新型国家として認められつつある。清華大学においては国の発展に伴い、1980年に初めての大学発企業を設立し、40年後の2018年には、大学発企業である清華ホールディングスは中国企業連合会、中国企業家協会が発表した「中国企業トップ500」において137位、研究開発費の売上高比が3位となり、中国における最もイノベーティブな企業の一つとなった。また、その傘下のTusホールディングスは中国各地において多くのスタートアップ支援拠点を設立して地域のエコシステム構築に貢献している。

産学連携ジャーナル 中国の成長と共に歩んできた清華大学のスタートアップエコシステム

下記の図から、中国のスタートアップエコシステムは40年超をかけて形成されてきたことがわかります。

出所:各種公開情報を基にデロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社作成

こちらは、スタートアップの事業フェーズ別の支援と、エコシステム内の主要組織との関係性です。清華大学が中心となり、シード期からレイト期まで発展的に支援する仕組みが構築されていることがわかります。

研究論文数を増やし続ける中国

最後に、先日に話題になっていた、研究論文の国別Top10の推移に関するツイートをご紹介します。

中国は25年近くで、研究論文数は首位に躍り出ているのです。

結果として、中国発のユニコーン企業として、シャオミ、アリババ、バイトダンスなどが生まれてきています。

日本も負けてられません。

注目したい京都のスタートアップエコシステム

日本国内の各地域でもスタートアップエコシステムを形成する動きは進んでいます。注目したいのが、京都のスタートアップエコシステムです。

京都には、世界で戦うための技術・文化資産が眠っています。

いくつか面白い動きを見ていきながら、京都スタートアップエコシステムの可能性を探っていきたいと思います。

京都の文化資源を競争力に変えることができるか?

京都ならではの動きとして、京都芸術大学 Art & Bizファンドが設立されていることにも注目です。

芸大×スタートアップの組み合わせは、今まで少なかったのではないでしょうか。

日本・京都の文化価値をブランドの競争力に変えていく動きがつくれると、「独自性あるスタートアップ創出」につながりそうですね。

CASE:京町屋の復活に取り組むベンチャー企業

FUNDINNOで調達を成功させた企業に、株式会社立志社があります。

京町家の空き家問題と失われゆく歴史的景観に関する課題を解決するベンチャー企業です。

コロナ禍でインバウンド需要が減少している中で、ペット需要の開拓や地域共生ビジネスなどの仕掛けにより、施設の稼働率を高めているユニークさをもっています!

京都の伝統的な町屋、その背後にある美意識は世界でも高い評価を受けているのは周知の事実です。

Abroad in JapanのYouTubeでも、立志社が紹介されています!


京都の技術資源を活かすことができるか?

また、京都には、京セラ、村田製作所、オムロンなど、日本を代表するものづくり企業が集まっています。

次世代の京セラ、オムロン、日本電産などに続くスタートアップ企業を増やしていけるか…がこれからの京都スタートアップエコシステム構築の見どころとなります。

CASE:京都の技術資源を活かしたベンチャー企業

京都の技術基盤を活かしたベンチャー企業・オリゴジェンのご紹介です。

オリゴジェンは、ヒト神経幹細胞による治療法の確立や創薬研究を専門とするバイオベンチャーです。

京都大学 iPS細胞研究所の藤渕教授がボードメンバーとして参画、また「京都大学イノベーションキャピタル」が出資をし、事業化の難易度が高いと言われる再生医療に取り組んでいます。

京都大学の知・大学VCの力をもって、未来に必要とされる仕掛けをつくっていく動きには、これからも注目していきたいところです!

京都・広くは関西でエコシステム形成を!

2025年には大阪・関西万博があります!

この万博で、日本の魅力を世界に発信できるか…楽しみなところです。

京阪神(京都・大阪・神戸)で2025年の大阪・関西万博に向けたエコシステム形成が進んでいます。

経済産業省・近畿経済産業局:関西におけるスタートアップ・エコシステム強化の動き

歴史の中で地域に蓄積した文化・技術資源をさらに発展する動きをつくり、米国や中国に続くスタートアップエコシステム形成につながっていくことに期待です!

最後まで読んでくださりありがとうございました!


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