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221.渋谷らくごについてのメモ1 「初心者向け」というコンセプトを掲げること

渋谷らくご(以下:シブラク)の出張版として、noteとコラボした落語会が開催されるんですって。

シブラクは毎月第2金曜日から5日間、渋谷のユーロライブで開催されている落語会だ。

僕のnoteでも落語について書くときにちょいちょい名前を挙げている会なのだけど、シブラクについては語りたいことが多いので、ちょいちょい書いていきたいと思う。

今回は、コンセプトについて。

公式サイトにも書かれているように、シブラクのコンセプトは「初心者でも楽しめる」。
初心者に向けた落語会は、単発企画なら無いこともないのだけど、毎月決まった日数開催する定期落語会としては初の試みだったと思う。

初心者向け落語会がなかなか開催できないのは、やはり興行的な理由が大きいのだろう。

どの芸能もそうだとは思うが、落語会の客層はやはりファン中心になってしまいがち。その上、落語家の数はどんどん増えているので、限られた母数のお客さんに対して、興行数は供給過多ぎみという印象だ。

そんな状況下で、「初心者向け」=「ファンは対象にしてません」宣言をするとなると、動員としてはかなり厳しいものになると予測される。
わざわざ稼げない興行を定期開催なんて、普通はやらない。

初心者向けと銘打つことができないので、落語業界が初心者に言えるのは「とにかく寄席に行ってみよう!」というざっくりなメッセージしかない。言われたほうとしては「いや、具体的にどこに行けばいいのかを教えてよ?」っていう感じで、途方に暮れてしまう。どの寄席に行けばいいのか、誰を見ればいいのか。選択肢が多すぎて、初心者にはどれを選べばいいのかよく分からない。
そこで、「初心者向け」をあえて掲げることで、「最初はここに来ればいいよ!」と選択肢を一つに絞らせたのがシブラクだったのだ。

僕は2014年11月、シブラクの一回目の公演を観に行っているのだが、やはり客入りは少なくて、正直、「かなり興行的に厳しそうだな……」という印象を受けた。やっぱり「初心者向け」をメインコンセプトにすると厳しいのかなぁ……、とちょっと心配になるぐらい。

しかしその後、Twitterやポッドキャスト、動画配信などのWEB宣伝のおかげもあってか、じわじわと渋谷らくごは認知度・動員数を伸ばした。今年11月の公演で5周年を迎え、「初心者向け=シブラク」というブランディングも確立したように思える(というかシブラク登場以降、それの後継的な会が現れていないんだけど)。

僕自身も、友人から「落語に興味あるんだけど……」と言われた時には、シブラクに連れて行くことが多くなった。シブラクって落語を布教するのに便利な会なんですよ、マジで。

というわけで、noteユーザーの方で落語に興味がある方はぜひ今度の「note寄席」あるいは11月8日からのシブラクの5周年記念興行に足を運んでみてほしい。

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