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ミシェル・ゴンドリーについてのメモ

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映像作家としてのミシェル・ゴンドリーについて、考えたことです。
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ミシェル・ゴンドリーについてのメモ その4

 前回までしつこく書いてきたゴンドリー作品における「記録された時間」「記録されなかった時間」は、『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』では「文章」と「行間」として言い替えることができます。

『ムード・インディゴ』は彼の他の作品に比べても、世界全体があくまで作り物であることが意識的に示されています。主人公を含む登場人物ですら、手首がグルグル回ったり、脚がチューブのようになったりと、生身の人間らし

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ミシェル・ゴンドリーについてのメモ その3

 ミシェル・ゴンドリーの映画の代表作として『エターナル・サンシャイン』(2004)を挙げても、恐らく文句は出ないと思います。ゴンドリーはチャーリー・カウフマン、ピエール・ビスマスと共に、この年のアカデミー脚本賞を受賞しています。

 主人公ジョエル(ジム・キャリー)は、喧嘩した恋人クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)が手術により、彼にまつわる全ての記憶を消去してしまったことにショックを受け、自

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ミシェル・ゴンドリーについてのメモ その2

 ミシェル・ゴンドリーについて、まずは、彼が監督したThe White Stripesの『Hardest Button To Button』のミュージックビデオを参考にしたいと思います。

 音に合わせてドラムセットやギターアンプが増えていく、というシンプルなアイデアではありますが、実際にここまで徹底されると、見ているうちに、どんどん楽しくなってきますよね。

 このMVではCGが使われておらず、

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ミシェル・ゴンドリーについてのメモ その1

 昨年の10月、東京都現代美術館で開催されていた『ミシェル・ゴンドリーの世界一周』展を観に行きました。ゴンドリーの手がけたMVや、映画の小道具の展示も面白かったのですが、一番の目的は「ホームムービー・ファクトリー」。当日集まった十数人の観客がチームとなり、場内に作られた撮影セットを使って映画を撮る、という体験型ワークショップです。

 最初の一時間で撮影したい映画のジャンルを絞ったり、ストーリーの

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