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離別

そのぬくもりが、かすかに感触として残る。

温かなその手のひらの感覚が残っているのだ。

そして、そのお腹に触れて、顔を見るのだ。

安らかだった。そう思う。

そのぬくもりを、まだ自分の手のひらが憶えている。

その表情を、好きな野球の話をしながら、文句など言いながら、

足を揉んであげて気持ちいいと言ってくれたことを憶えている。

いい関係だったと思う。

長く一緒にいることができて、自分は幸せだったと思う。

まだ、教えてほしいことがあったと思う。

一緒に共感できることがあったのではないかと思う。

ただ、今は、その温もりだけが、手のひらに残っているのだ。

その感触を忘れることはないだろう。

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